首都ポルトープランスで4校の学校が完成
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、昨年のハイチ地震に対する学校再建支援として、今年3月から7月にかけて、ハイチの首都ポルトープランスにある4つの学校で校舎とトイレを建設しました。
ハイチでは、2010年1月12日に起きた地震で、被災地の学校の約80%に当たる4,992校が被害を受け3,978校が全・半壊しました。約1年半後の2011年5月時点でも、再建したのは647校、全体の16%と言われています。また、震災前から就学率が約50%にとどまっていたハイチでは、この震災後、学校に通う生徒がより一層減っている状況が続いています。そこで、校舎の再建を早急に進めることは、学校に通っている子どもに適切な教育環境を提供する上でも、現在は学校に来ていない子どもたちに通学を促す上でも、緊急の課題でした。
写真左:以前のナザレ校(C)PWJ
写真右:以前のペダンゴジック校(C)PWJ
PWJはこのような教育環境整備への高いニーズに応えるため、震災後早い段階から教育分野で活動を始め、今年3月までに合計13校で学校再建支援をしてきました。そして3月からは、ハイチの首都ポルトープランスにある4校で新たに支援を開始しました。
工事中のペダンゴジック校(C)PWJ
4校はいずれも、昨年1月の大地震で校舎が崩壊して使えなくなり、臨時の対応として、教会や避難民キャンプ内のビニールシートの屋根の下で授業を行っていました。そのため、一つの空間で複数の授業が同時並行で行われていたり、校舎がテントやビニールシートでできているため室内が暗かったり、熱気がこもって非常に暑かったりして、教育環境としては厳しい状況にありました。また、雨期のハリケーンなどで校舎が崩壊する恐れもありました。
4校での建設工事は地元の建設業者に委託し、PWJエンジニアが連日現場を訪問して進捗状況を確認しつつ、技術的な指導をしながら進められました。建設現場の中には、すぐ近くで臨時の授業が行われている場所もあり、毎日のように子どもたちが工事の様子をのぞきに来ては、日々、完成に近づいていく自分たちの新しい学校を期待を込めて眺めていました。この子たちが勉強する姿を想像して、安全で使いやすく、そして子どもたちに喜んでもらえるような学校になるよう心がけました。
写真左:完成したナザレ校(C)PWJ
写真右:完成したペダンゴジック校(C)PWJ
いよいよ校舎が完成すると、それぞれの学校が開校式を企画し、PWJスタッフを招待してくれました。生徒や先生、保護者や地域住民がぞくぞくと集まる熱気の中、感謝の言葉が伝えられました。
ある生徒は「こんなきれいな学校ができてうれしい。(9月に始まる)新学期からここで勉強できるのが楽しみ!」と満面の笑顔。またある校長先生からは「日本でも震災で大きな被害が出ている中で、ハイチでの支援を続けてくれてどうもありがとうございます。日本の皆さまのためにお祈りさせていただきます。」というメッセージがありました。
ナザレ校の児童たち(C)PWJ
ハイチでは、震災による影響が拍車をかけて、すべての子どもが教育を受けられるには、ほど遠い状況が続いています。PWJはより多くの子どもたちに適切な教育の機会が与えられるよう、校舎建設を含む学校再建の支援を続けていきます。