診療所が次々に完成しています
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は2007年10月から、ユニセフとも協力して、イラク北部のスレイマニア州とドホーク州で診療所の建設や修復・増築を進めています。これまでに8つの診療所の工事が終わり、残る1つも10月末に完成の予定です。完成した診療所は、さっそく使用が開始され、患者や住民、病院関係者から感謝の言葉が届いています。
ドホーク州北部の自然豊かな山岳地帯にあるブリフィカ村は、州都ドホークから車で約2時間半かかる場所にあり、一番近い総合病院まで車で約1時間半かかります。これまでは、普通の民家を診療所として使ってきましたが、8月中に新しい診療所に移る予定です。これまで大きな病院で1カ月に1回だけ実施されてきた子どもの予防接種が、今後は1週間に1回、村の診療所でできるようになります。
また、事業を始めたときには、治療、登録、薬の受け渡しなどのすべての業務を、医師が1人で行っていましたが、現在は、男性と女性の看護師が1人づつ臨時で雇用され、3人で対応しています。
(C) Peace Winds Japan
ドホーク州とニネヴェ州の境目に位置するイスマワ村には、これまで診療所がありませんでした。
7人の子どもを持つワヒヤさんは「診療所がなかったので、簡単な病気で亡くなってしまうことがあった。とくに女性や子どもはいつも被害者だった」と訴えます。出産時の出血のために亡くなったり、予防接種を受けられないために子どもが破傷風で死亡したりすることもあったといいます。
「診療所がほしいと、これまで、ずーっと訴えてきたけど、なかなか聞き入れてもらえなかった。PWJが診療所を建ててくれると聞いて、本当にうれしかったよ」と話してくれました。
(C) Peace Winds Japan
スレイマニア市北部のザルガタ診療所には、2階を増築しました。所長は「下痢や皮膚病、風邪などの患者が、多いときで1日、200人くらいやってきます。これまでは1階しかなかったので、薬局を外に出したりしてきました。増築で、4つの部屋と、薬局、倉庫のスペースが増えたため、今後はさらに効率よく対応できるようになります」と喜んでいました。
PWJは今後も、イラクの人びとの健康を守るための支援に取り組んでいきます。