ジャパン・プラットフォーム事業のモニタリング実施
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、1996年の設立以来、イラク北部で支援活動を続けていますが、2003年のイラク戦争の前後からはジャパン・プラットフォーム(JPF)の協力を受けて、大規模な活動を行ってきました。PWJによるイラク国内のJPF事業がひと通り完了し、イラク北部の治安が落ち着いてきたことから、JPFによるモニタリング(事業実施後の現地での成果調査)が実施されました。2005年のモニタリングは、イラクの治安状況が厳しかったため、活動のベースとなっていた隣国ヨルダンでのみ実施されたため、JPFによるイラク国内でのモニタリングは今回が初めてです。モニタリングチームは、支援を受けている人たちからの直接の聞き取りなども行い、事業の成果や課題などを確認しました。
(C)PWJ/Yohei Sakamoto
モニタリングの範囲は、2003年のイラク戦争前後の緊急支援から、それ以降の復興支援まで足掛け6年、全7期にわたるものです。中でも復興支援にかかわる水・医療・教育施設の建設・修復事業について、今回、聞き取りなどが行われました。
モニタリングでは、JPFモニタリングチームが事業地を訪問し、支援対象の人たちに「事業実施の前後でどのような変化が起きたのか」、「事業終了後の施設などの維持管理は十分に行われているのか」といったことを中心に質問しました。聞き取りでは、「以前はパイプに穴があいて飲料水に汚水が混じり、消化器系の病気になる住民もがいたが、事業終了後は病気が減った」といった声が出ていました。
(C)PWJ/Yohei Sakamoto
印象的だったのが、ドホーク市内で建設したサラセミア治療センターでの調査でした。サラセミアは、貧血・黄疸などを発症する遺伝性の病気です。病気を抱えた子どもたちは、病室のベッドの上で身動きもせず、輸血を受けていました。センターを訪れたJPFの椎名規之さんは、病気を抱えた子どもを心から気遣っている様子で、両親の話に耳を傾けていました。
(C)PWJ/Yohei Sakamoto
PWJは、今回のモニタリングの結果も受け止めながら、事業の質の向上を図りつつ、今後も事業を進めていきます。