水問題深刻化のニネワ州シェハン地区で井戸や施設改修
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、中央政府とクルド自治政府との境界にあるため、どちらからも十分な行政サービスが届いていなかったイラク北部ニネワ州シェハン地区で支援を続けています。このうち、タクハラブ村で進めてきた深井戸の掘削と、貯水タンク・くみ上げポンプの改修が2009年7月末で完了し、住民たちがいつでも必要な水を使うことができるようになりました。
タクハラブ村は、もともと行政サービスが不十分だったことに加えて、水に関して、このところ2つの問題を抱えていました。
1つは、井戸から水をくみ上げるポンプの出力が弱いために、タンクに貯めた後、簡易水道に流される水の量が村人の必要量を満たせていないこと。2008年以降は、降雨量不足などにより井戸の水位が下がり、状況がさらに深刻になっていました。
もう1つは、2006年以降にタクハラブ村に移住してきた国内避難民150世帯が、従来の貯水タンクよりも高い位置に住んでいるため、タンクからの水が家まで流れず、離れた場所まで水をくみに行かなければいけなかったことです。
PWJは以前、2006年にタクハラブ村で、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の協力も得て、井戸掘削、貯水タンク設置などの事業を行っていました。しかし、シェハン地区の水道局から、状況の変化に対応した支援を求める要請を受け、国連人道問題調整事務所(UNOCHA)の協力も得て、今回、あらたに、深さ203mの井戸を掘削し、新しいポンプの設置しました。貯水タンクは移設し、設置位置を従来より5m高くしました。
家族8人で生活している男性は「これまでは水の量が不安定で、いつ水がなくなるかと不安でたまりませんでした。でも今は、そのような心配はなくなりました」と話をしてくれました。また、「以前は、40度近くの気温になる夏でも、2〜3日に1回しかシャワーで体を洗うことができませんでしたが、今では毎日シャワーを浴びることができるようになりました」と教えてくれました。
タクハラブ村のように、PWJが以前に事業を行った地域でも、現地政府・住民からの要望やスタッフの訪問により、あらたな困難が確認された場合には、PWJとしてできるだけの支援をしていきたいと考えています。