「イラク国民にとって記念すべき日」 街中に歓声と踊りの輪
フセイン政権が首都バグダッドの支配権を失ったと報道された4月9日、イラク北部・クルド人自治区では、ニュースを知った多くの人たちが街に繰り出しました。戦争はまだ続き、避難先に滞在したままの人も多く、食料不足や物価上昇などの課題が山積。しかし、この日ばかりは、そうした困難を忘れたかのように、喜びを表す人たちの姿が街にありました。
スレイマニア市内中心部のある通りには、ニュースが伝えられた9日午後1時ごろ(日本時間午後6時ごろ)から市民たちが集まり始めました。手拍子やラジオなどに合わせて、腕を組んで足を踏むクルドの伝統的な踊り(チョピ/セペイ/シェハニ)を踊ったり、肩車をしたり、Vサインをしたりする人びと。 メーンストリートでは、行き交う車がライトをつけ、クラクションを鳴らし続けていました。窓から身を乗り出す人、スカーフやハンカチのような布を振る人も大勢います。車の中の人、道の両側の人たちから歓声が上がります。拍手の音もこだまします。 夕方からは、女性や子どもたちの姿も目立つようになりました。子どもたちの多くは着飾っています。 通りには深夜までクラクションの音が響いていました。
ハラブジャ出身の老人(男性)は「我々はずっと自由を求めてきた。自分の目でこの日をみることができてうれしい」と興奮しながら話していました。 この日、多くのクルド人が、「クルド人だけではなく、すべてのイラクの国民にとって記念すべき日」と口にしました。長年、ペシュメルガ(民兵)としてフセイン体制と戦ってきた51歳の男性は「1991年の蜂起はクルド人自治区の設置をもたらしたが、こんどはイラク全体が解放されることにつながる。91年よりもっと大きな喜びで、自分の気持ちをどう説明していいかわからない」と強調しました。
自治区内には、まだ多くの避難民がいます。彼らの困難な生活はまだ続きます。ピースウィンズ ・ジャパンでは引き続き、避難民をはじめとする困難に直面した人たちの状況を注視していきます。