ミャンマーで給水支援を開始します
長年の軍事政権による支配の後、2011年の総選挙を経て民主化の道を歩み始めたミャンマー(ビルマ)連邦共和国。
130以上あると言われる少数民族の中には中央政府と対峙してきたグループも多く、いまでも国内外に滞在する45万人以上の難民や避難民は、今後故郷の村などに帰還することが予想されています。
ミャンマー南東部にあり、タイと国境を接するカレン州(カイン州ともいいます)では、半世紀以上に渡り武力衝突を続けてきた中央政府とカレン族等の少数民族グループの間で停戦合意が結ばれ、和平に向けた調整が続いています。
戦火は治まったものの、紛争のため社会開発が遅れていたタイ国境に近い村々では飲み水も十分でないような厳しい生活が続いているため、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は支援を決定し、具体的な事業計画を策定するために2013年5月にスタッフ2名を派遣し現地調査を行いました。
以下、現地からの報告です。
現地調査を行ったPWJ斎藤
ミャンマー最大の都市で旧首都のヤンゴンから車で舗装道路を5時間、さらに未舗装の道を数時間かけて訪れた村で、住民から話を聞くことができました。
ソウさん(仮名)は、村で雑貨屋を営んでいます。
子どもが多い大家族のソウさんにとって、一番大変なのは水の確保だそうです。
この村では乾季の終わりになると井戸水が足りなくなり、井戸の底に溜まった水が泥で濁ってしまうからです。
この井戸の水を飲む以外に水を確保することはできないので、濁っていたとしても井戸の水を飲用にして、それでは足りないので近くの川まで行って、洗濯をしたり体を洗ったりしている、とのことでした。
家の裏手にある井戸を見せてもらいましたが、地面に穴を掘り木材を敷いてあるだけの簡単なもので、ロープをつけたバケツを使って水を汲み上げていました。
井戸の底に濁った水が少し溜まっていました。
このような屋根も囲いもない井戸は、村ではふつうに見ることができますが、家畜や子どもが落ちる可能性があり危険なだけでなく、雨水も落ち葉などのごみも井戸に入りやすくなっています。
村にある井戸。穴を掘っただけの水たまりのようになっている。
同じ村のなかでも、井戸によっては乾季の終わりに水がなくなることもあり、そのような場合は井戸の水を集落でわけあうそうです。
村では大きな問題になっていませんでしたが、季節によっては小さい子どもたちに下痢が発生することが報告されているなど、健康面での問題もあるようです。
PWJは、カレン州において、給水施設の補修や新設を行う計画を進めています。必要な支援をできるだけ多くの人に届けることができるように、迅速に対応していきます。
村の子どもたち
報告:山本 理夏(事業部)
継続的な支援を届けるために、皆さまのご支援をお願いします。
本調査は、皆さまからのご寄付のほか、ジャパン・プラットフォームからの助成金や寄付金により実施しました。