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私たちの活動

【バングラデシュ】コミュニティボランティアと歩く~ある妊婦さんへの家庭訪問

バングラデシュ南部、コックスバザールに広がるミャンマー避難民の難民キャンプとその周辺地域。ここでは、ピースウィンズが実施する「健康啓発活動」が、多くの人々の暮らしを静かに、しかし着実に支えています。
 
活動の中心となるのは、「コミュニティボランティア」と呼ばれる人々。
彼らは地域に根ざした存在であり、日々、住民の家々を一軒一軒訪ねながら、健康チェックや医療受診のアドバイスなどを行っています。
 
妊娠9ヶ月のノアさんのもとへ
この日、女性スタッフとともに家庭訪問に向かったのは、難民キャンプに暮らしながらコミュニティボランティアとしても活動するサキナさん。訪問先は、妊娠9ヶ月のノアさんのお宅です。
 
宗教的な配慮から、女性の家を訪問する際は、男性ボランティアの同行が難しいこともあります。そんなとき、サキナさんのような女性ボランティアが大きな役割を果たしています。
 

コミュニティボランティアのサキナさん。

 
左:サキナさん、右:妊娠9ヶ月のノアさん

 
産前検診は「一度だけ」— その背景にある課題
家庭訪問でお話をするなかで、ノアさんがこれまでに受けた産前検診は、妊娠3ヶ月のときに1回のみだったことが分かりました。バングラデシュの医療機関では、産前検診は少なくとも8回受けることが推奨されています。サキナさんは、その理由や重要性をやさしく丁寧に説明しました。ノアさんも「もっと早く知っていれば」と驚いた様子で耳を傾けていました。
 
「家で産むしかない」— その想いに寄り添って
ノアさんは以前、自宅で出産した経験があり、今回も夜間の移動手段を手配することが難しいことから、自宅分娩を考えていたそうです。
 
その思いに寄り添いながら、サキナさんは医療施設での出産のメリットである衛生的な環境、緊急時の対応力、そして安全性について丁寧に伝えました。
 
すると、少しずつノアさんの気持ちに変化が起こり、今では「医療施設での出産も考えてみたい」と前向きな気持ちを見せてくれました。
 
しかし、出産方法の選択は、ノアさん一人で決められるものではありません。特に夫の理解が必要不可欠です。次回の家庭訪問では、男性のコミュニティボランティアがノアさんの夫にカウンセリングを行い、家族全体での合意形成を目指します。
 
「また来てくれると知って安心した」とノアさんは最後にこう話してくれました。
「妊娠中の危険サインなんて知らなかった。今回の訪問でとても大事なことを知れたし、何かあったらまた来てくれると聞いて、すごく安心しました。」
 
サキナさんのようなコミュニティボランティアの存在は、医療施設までの距離や情報の壁を乗り越えるための、かけがえのない架け橋。彼女たちの日々の活動が、母子の命を守る大きな力となっています。
 
※ピースウィンズの活動は、ジャパン・プラットフォームからの助成金や個人・法人の皆さまによるご寄付により、実施しています。

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