【韓国 山火事】少しずつ明らかになる被害の全容。風光明媚な観光名所『ソクリ』も被害に
3月27日、韓国では久しぶりにまとまった雨が降り、21日の発災から消火活動を上まわるスピードで延焼が続いていた山火事の勢いは一時収束。翌3月28日に政府は鎮圧状態にあることを発表しました。鎮火に向けた消火活動が続けられていますが、一部山林で再燃が発見され緊急で消防ヘリが出動するなど予断を許さない状況が続いています。
日本から派遣されたピースウィンズの看護師を含む緊急支援チームのメンバーは、28日ソウルに到着。すでに支援活動を続けていたピースウィンズ・コリアのメンバーと合流するとその足で被害の激しい韓国・南東部、慶尚北道 盈徳郡(ヨンドク郡)へ移動し、被災地に入りました。緊急支援に同行した近藤史門カメラマンからのレポートを紹介します。
「自然災害の前では人間は本当に無力」
3月28日、あたりが薄暗くなった頃に被災地であるヨンドク郡に到着。先遣隊として入っていたピースウィンズ・コリアのスタッフが自治体と連携して関係性も構築していたことから、特に大きな被害が出ていた地域の首長や地区長に少しお話を聞くことができました。
「今回の山火事を通じて、自然災害の前では人間が本当に無力だということを痛感しました。火災は想像をはるかに超える規模で、どれだけ対応しても追いつかず、結果として大きな被害を受けてしまいました」
このヨンドク郡だけでおよそ8000ヘクタールを超える山林が焼失し、9名が死亡、850人を超える住民が避難しています。
コミュニティに住む高齢者の多くは、雑魚寝や簡易テントによる体育館での避難生活が困難なため、これまではいくつかある地域の公民館(コミュニティセンター)のような施設に少人数ごとに集まって災害を乗り越えることが多かったといいます。
しかし、今回はその避難場所でもあった建物自体が焼失してしまっていたり、停電などが原因で公民館での避難は厳しいことから、今回はやむなく体育館の避難所に身を寄せている高齢者も多いそうです。
それでも高齢者にとって、小さくても身近な公民館は安心できることから、いくつか火災から逃れた公民館に自主避難している方もいます。公民館は正式な避難所に指定されているわけではないため、物資の集まりやすい避難所と異なり、支援から取りこぼされてしまう可能性があります。そのためピースウィンズでは大きな避難所だけでなく、公民館などもまわりニーズ調査を進めていくことを決めました。
「花を見ていると少しだけ心が落ち着くから」
3月29日、山火事により多くの家屋が被害を受けたヨンドク郡の석리(ソクリ)へ。海に面した美しい街並みは観光名所のひとつにもなっていましたが、山火事によって風景は一変。現場では焼け焦げた臭いが鼻をつき、今なお煙のくすぶっている箇所も見られます。
避難所で、ソクリ出身の女性と出会いました。
「山火事は村を飲み込んで、私たちは逃げ遅れたんです。道路が炎で通れなくなってしまい、私たちは船で海上に逃げ、そのまま船で安全な場所まで避難してきました。
昨日(28日)この避難所が開設されたので移ってきましたが、心が落ち着かなくて、涙が止まりません……さっきお散歩してお花を摘んできました。いまは花瓶に飾って、そのお花を眺めていたところ。花を見ていると少しだけ心が落ち着くから」

ピースウィンズ・コリアのスタッフは「今被災者に必要なのは、助けてくれる人がいるという安心感だ」と話します。山林火災は火事が鎮圧されると、一気にメディアバリューを失い、社会の関心が薄れていく傾向にあります。
「そのなかで、そっと彼らの背中を支えることのできる支援者の存在は、被災者にとって大きな意味がある」
被災者の訪問は明日以降も継続する予定です。避難所で出会った女性も含めた被災した方々が日常を取り戻す日まで、一人ひとりに寄り添う支援が求められています。
【韓国 山火事】緊急支援募金を受け付けています
ピースウィンズは、韓国で起きた山林火災による被災者を救うための支援をおこなっています。みなさまからのご寄付が活動の力となり、被災者の命を救い未来につながります。災害で苦しむ人びとのために、あたたかいご支援をお願いいたします。
https://lp.peace-winds.org/support_korea_wildfire
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