【ネパール】「さよなら」ではなく、またお茶でも飲みに
ピースウィンズは、2015年地震の被害を受けたシンドゥパルチョーク郡にある中山間部の集落で、安全な水へのアクセス改善と野菜栽培の技術指導を行ってきました。2015年の緊急支援から8年間行ってきた当地への支援ですが、生活改善と生計向上のために、給水施設の建設だけでなく農業の技術指導を始めた5年前から比べると、住民の方々の自主的な取り組みが大変活発になり、今年度で最終年度を迎えることができました。住民の方々が、ピースウィンズの活動に参加した後の生活の変化を、ネパール国営放送の取材で語ってくださいました。
事業の完了に差し掛かった8月末に、完成した給水施設の地域住民への引き渡し式を開催しました。今年度は5つの地域に住む271世帯(1,654人)へ給水施設を整備し、安全な飲料・生活用水を、年間を通じて安定して供給できるようになりました。
完成した給水施設を住民へ引き渡しました!
住民から手厚い歓迎を受ける菊田大使
給水施設の引き渡し式には、在ネパール日本国大使館の菊田大使にご出席いただきました。菊田大使は「新型コロナウイルスの世界的なパンデミックなどの困難な社会状況下での事業であったにも関わらず、ピースウィンズと提携団体のInstitution for Suitable Actions for Prosperity (ISAP)と地域住民のみなさんが力を合わせて、素晴らしい事業成果を出していただきありがとうございます。」との言葉を頂きました。
菊田大使が式典会場であるシンドゥパルチョーク郡のバレフィ地区に訪問するのは初めてのことで、村の入り口には多くの住民が集まり、ネパールでは歓迎のしるしであるマリーゴールドの首飾りで、菊田大使を出迎えました。
インタビューを受けるプンニャ・クマリ・カルカさん
また、式典にはネパール国営放送の取材がありました。取材を受けた農家さんらは次のように語ってくれました。
プンニャさんは、事業が始まる前は、一日の水を確保するために、朝から遠くの泉に水を汲みに行っていました。しかし、その泉の水も時々枯れることがあり、近所の人と地面を掘り、そこから染み出すわずかな水を生活用水として使うこともあったそうです。
毎日、水を確保することに精一杯で、プンニャさんは農作業にも集中できない日々が続いていました。
自宅前の蛇口から水を汲むプンニャ・クマリ・カルカさん
本事業で建設した給水施設により、毎日の水汲みがとても容易になりました。プンニャさんは、今まで水汲みに費やしていた時間を農作業に使うことで、以前から栽培していた、きゅうりや唐辛子などの収穫量を増やすことができました。また研修により農業の知識を得て、事業から支援したビニールハウスなどの農資材を活用し、新たにトマトなどの様々な野菜の栽培にも取り組めるようになりました。インタビューでプンニャさんは、「昨日も9キロのトマトを収穫して、高く売れた」と嬉しそうに話していました。
本事業の参加者でもある、地域の副区長のマヤ・ラマさん
マヤさんも、本事業が始まる前は水の確保に苦労しており、片道30分以上かけて遠くの泉に水を汲みに行っていました。しかし今では、建設された給水施設から生活用水だけでなく農業にも水を利用できるようになりました。そして、農業に精力的に取り組み、リーダー農家として、地域の農家をまとめています。
地域の副区長でもあるマヤさんは、建設した給水施設の管理を地元行政と連携し、維持管理しています。「ピースウィンズの事業が終了した後に給水施設が壊れても、住民から集金している使用料で修理できるし、高度な修理が必要な場合は、地元行政も修理に協力してくれる。これからは私たちが、この事業でいただいたものを守っていかないといけない!」と、力強く語りました。
この地域での事業を完了するにあたり、多くの地域の方々から感謝と別れを惜しむ言葉を頂きました。スタッフも業務上の関わりを超えて、地域の方々と公私の関係を築いています。ある活動地域では「事業が終わることよりも、スタッフのみなさんとの別れが辛いので、さよならではなく、またお茶でも飲みに来て」という言葉と共に、スタッフは住民の方から送り出されていました。
この事業は、外務省日本NGO連携無償資金や個人・法人の皆様のご支援を受け、ネパール政府や地元の方々のご協力を得て実施してきました。皆様のおかげで、シンドゥパルチョーク郡での事業を多くの実りある成果と共に完了することができました。スタッフ一同、心より感謝申し上げます。
今後も、ネパールの人々がより幸せな生活を送れるような支援を行っていけるよう、ネパールの発展に貢献していきたいと考えております。引き続き、みなさまの温かい応援とご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
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