被災者キャンプで登録や聞き取り
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)などがパキスタン北部ムザファラバード近郊で運営しているキャンプに、地震被災者の入居が続いています。2月5日現在の入居数は、240世帯、約1300人。PWJは、このキャンプで、入居者の登録作業や女性たちの聞き取り調査などを実施しています。
このキャンプは、ムザファラバード市近郊のタンドリ地区にあり、「キャンプ・ジャパンプロジェクト」として、ジャパン・プラットフォーム(JPF)参加NGOなどが共同で運営しています。PWJは、JPF参加NGOであるJADE(緊急開発支援機構)とパートナーを組み、自治補完業務(キャンプ・マネジメント)を担当しています。
写真左:フェンスに囲まれているキャンプ・ジャパン(撮影:JADE)
写真右:キャンプ入居時の登録作業(撮影:JADE)
その一環である被災者情報の管理では、キャンプ入居時の登録作業に加えて、個別の聞き取り調査を実施しています。なかでも重点を置いているのが、女性だけの家族や子どもだけの家族の聞き取り。現地の慣習として、女性たちの多くのが男性にはなかなか率直な気持ちを伝えないため、現地の女性をスタッフとして雇用し、女性の必要としているものや生活の課題などを聞き出しています。また、入居者を10前後の家族ごとにブロック分けし、ブロックごとに代表者を選出してもらい、掃除の分担などを決めてもらいます。現地では古くからの身分制度による固定化した職業観も残っているため、仕事の分担には、十分な配慮も求められます。そのほか、夜間の安全確保のための警備体制づくりもPWJ・JADEの担当。被災者のなかから警備員を雇って、毎夜、業務にあたってもらっています。
キャンプ生活では、多くの課題が生じますが、この解決を図るのも、キャンプ・マネジメントの役割の一つです。「外から見えないように、フェンスをつくってほしい」「早く電気をひいてほしい」などの要望を受け、それぞれの業務を担当する団体につなぎます。
写真左:登録が終了したあとに、生活用品が配給される
写真右:配給された桶でさっそく子どもの頭を洗う
(C)Peace Winds Japan
現地で活動したPWJスタッフの柴田裕子は「このキャンプに入居している被災者たちの多くは、もともと山間部で生活し、地震後、ムザファラバード周辺の非常に劣悪なテントなどで暮らしていました。不慣れなキャンプ生活では、不便を感じることも少なくないと思いますが、雪がとける春までできるだけの支援をしていきたい」と話しています。
PWJは今後、キャンプ・マネジメントに加えて、キャンプ内での安全確保や耐震建築などをテーマにしたワークショップ(研修会)を開くことを計画しています。