ウガンダ現地連携団体職員がTICAD9招聘事業で来日しました!
2025年8月20日から3日間開催された外務省主催の国際会議TICAD9にあわせてJICA女性・平和・安全保障(WPS*1 : Women, Peace and Security)アジェンダ推進事業の一環で、ピースウィンズがウガンダの難民居住地区で行った保護事業をきっかけとして設立され、現地で連携する市民団体ブケレ女性開発連合(Union for Women Development Bukere)のクリスティン・トゥカムサバさんが来日しました。
本招聘事業は、世界各地でWPS推進に取り組む女性代表を日本に招き、日本を含む各国におけるWPS推進の取組・課題についての相互学習・意見交換の機会を設け、また国内外の関係者間ネットワーキングをはかることを目的として行われました。JICAより委託を受けた株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング社(KRC)によって実施されたこの招聘事業では、WPS関係者として、政策に関わる人材、啓発に関わる人材、そして現場の事業実施に関わる人材が選ばれましたが、クリスティンさんは難民支援の現場の実施に関わる人材として招聘されました。

クリスティンさんは、コンゴ民主共和国をはじめとした難民を受け入れるウガンダ西部のチャカⅡ難民居住区で、ピースウィンズが日本の保護支援事業の一環で建設した女性支援センターを運営している現地市民団体の役員です。ピースウィンズは2021年に女性支援センターを建設し、ジェンダーに基づく暴力(GBV: Gender-Based Violence )被害の対応体制を設置し、被害への対応に加えて女性の精神的な自立を目的とした手法の一環として職業スキルの獲得と、それによる収入向上を目指し、裁縫や美容・理容などのスキルトレーニング研修を実施しました。クリスティンさんも、同裁縫トレーニングを受けた一人です。同事業の一環として、クリスティンさんを含むトレーニングを受けた受講生たちがセンター運営委員会を設立し、のちには現地市民団体としてウガンダ政府に正式に団体登録されるまでになりました。事業終了後は研修実施も引継ぎ、ほかの団体からも支援を得ながら、女性支援センターの運営を続けています。(クリスティンさんたちの活動については、こちらの報告(https://global.peace-winds.org/activity/uganda/51121)を参照ください。)
2025年8月21日、クリスティンさんは、JICA横浜で開催されたイベント「アフリカの女性と一緒に考えるジェンダーと平和」にて、チャカⅡ難民居住地区の女性たちの状況と活動、そして成果と課題について、国際開発やアフリカ、ジェンダーに関心を持つ学生や若手社会人を対象に話しました。参加者からは、「とても勉強になった。自分も日本人として、どうすれば一緒に課題解決できるか引き続き考えていきたい。」と前向きなコメントがありました。

また、2025年8月22日には招聘事業の一環として「難民女性とビジネス」セッションがピースウィンズ東京事務所で開催され、同じくウガンダから参加したWPS啓発に取り組む活動家、 ノリス・リンダさんとともに訪れました。ピースウィンズによる、自分自身が支援対象者だった保護事業のモニタリング結果に関する報告や、ウガンダに工房を持ちピースウィンズとも連携して事業を実施している株式会社RICCI EVERYDAYの代表取締役、仲本千津さん(*2)によるウガンダの女性たちと立ち上げた活動報告を熱心に聞き入っていたほか、自立的な組織運営を難民そしてホストコミュニティの垣根をなくした形でいかに実現してきたかについて語りました。

その後、RICCI EVERYDAYのショールームも訪れ、買い手を惹きつける商品の質やデザイン、またディスプレイの仕方なども学びました。
「RICCI EVERYDAYのショールームは、服やかばん、アクセサリーなどさまざまな商品が展示されていました。生地の質が良く、素材からの質の良さが大事ということを学びました。」と話すクリスティンさん。日本滞在はとても素晴らしかったと、語ります。

「日本滞在を通して、自信を持つことの大切さを学びました。日本で得た話す機会を通して、わたしたちの活動を知ってもらえたのはとても良かったです。日本の人びとからもフィードバックを得て、自信を持ちました。また、(日本で被災した能登半島を訪問したことで)地域の方の話を聞いたときには、人生においてどのような大変なことがあってもあきらめない、という気持ちを学びました。日本で感じたことや得た経験を活かして、仲間とともにウガンダのジェンダーに基づく暴力の課題や女性のエンパワーメントにより一層取り組んでいきたいと思います。」
今後もピースウィンズは、クリスティンさんたち、現地の人びとが「自信」をもって活動に主体的に関わり、自立していけるよう一緒に取り組んでいきます。
*1) WPS:平和構築や災害復興プロセスに女性が参画し、主導的役割を果たすことにより、持続可能な平和を達成しようとする取組です。2000年にWPSに関する国際連合安全保障理事会決議1325号が初めて採択されて以来、さまざまなレベルでWPS推進が展開されています。(参考情報:外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000023403.pdf )
*2) 株式会社RICCI Everydayの仲本千津さんへのインタビューもぜひご覧ください。「ピースウィンズと一緒に行うプロジェクトで、これからの10年でやりたいことの解像度が上がりました」――RICCI EVERYDAY代表 仲本千津さん (https://global.peace-winds.org/journal/51888)