【ケニア】コロナで激変した難民の子どもたちの生活(インタビュー)
世界中の人々の生活に影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。その影響はケニアのダダーブ難民キャンプで生活する子どもたちにとっても例外ではありません。
今回、新型コロナウイルスの流行によって彼らの生活がどのように変わったのか、5人の子どもたちにインタビューを行いました。
コロナ禍の難民キャンプで暮らす子どもたちの生の声をお聞きください。
「政府により学校が閉鎖され、私の生活もがらりと変わりました」─アミナ・ハラネ・ユスフさん
アミナ・ハラネ・ユスフさん
──お名前、国籍、家族の人数、いつダダーブに来たか教えてください。
私はエチオピア国籍のアミナ・ハラネ・ユスフで、IFOキャンプ、セクションNに居住している難民です。家族は10人家族で、父・母をはじめ、私は長女です。内戦を逃れて、エチオピアからダダーブに2009年に来ました。2012年、Hormud小学校で勉学をはじめ、現在Towfiq高等学校の1年生です。
──コロナで学校が閉鎖になる前、学校ではどのような日常生活を送っていたのですか?
両親と生活でき、学校でも良く勉強できたので、私の生活はとても順調で、明るい将来を描いていました。勉強も楽しく、友達もいて、学校の先生も大好きでした。
──コロナで学校が閉鎖になった今、どのような日常生活になりましたか?
コロナの感染が広まり、政府により学校が閉鎖され、私の生活もがらりと変わりました。友達と遊んだり、友達の家に訪問できなくなり、私の社会生活は大きな影響を受けました。授業での議論もできず、とても悲しかったです。
──コロナで家族の生活はどのように変わりましたか?
父もコロナにより影響を受けました。人々は、コロナ感染を避けるため、交流機会が減り、その結果私の父をはじめ、多くの人の仕事や雇用機会が減りました。
──将来の夢や、これから学校が再開したら何をしたいか教えてください。
卒業したら、医者になりたいと思っています。
「無気力になり、学校で学んだことも忘れ始めていました。それが恐ろしかった」─アブディファター・アブディナシル・シラジさん
アブディファター・アブディナシル・シラジさん
──お名前、国籍、家族の人数、いつダダーブに来たか教えてください。
僕はアブディファター・アブディナシル・シラジで、IFOキャンプ居住しているソマリアから来た難民です。11人家族で、大人は両親含み3人、8人兄弟です。干ばつ・飢饉の影響で、ソマリアからダダーブに2010年に来ました。2012年、Hormud小学校で勉学をはじめ、現在Towfiq高等学校の1年生です。
──コロナで学校が閉鎖になる前、学校ではどのような日常生活を送っていたのですか?
両親と一緒に生活でき、明るい将来を描いていました。勉強も楽しく、友達もたくさんいて、学校でもいい先生、校長先生に恵まれました。コロナが勉強やコミュニティーに大きな影響を与えるまで、学校の試験でもトップ10の成績でした。
──コロナで学校が閉鎖になった今、どのような日常生活になりましたか?
コロナ感染がケニアでも報告され、私の生活も変わりました。学校はほぼ1年閉鎖されることになり、コロナは私の周り全てに影響を与えていて、人生がうまく回っていないように感じさえします。学校へ行けず、友達とも遊べず、友人と会ったり、モスクに行ってお祈りすることもできませんでした。このような状況に困惑し、無気力になり、学校で学んだことも忘れ始めていました。それが恐ろしくも感じました。将来への明るい希望も失われるようで、とても落胆しました。
──コロナで家族の生活はどのように変わりましたか?
コロナの影響は僕の家庭にも及びました。両親は、収入を得るのに苦労していました。父は耳が聞こえず、地元の市場で積荷の荷卸しをする日雇い労働者として働いていますが、コロナでキャンプ内での仕事が減ったため、仕事に就くのに苦労していました。
──将来の夢や、これから学校が再開したら何をしたいか教えてください。
卒業したらエンジニアになりたいと思っています。今は、学校が再開すれば学習を続け、以前のように普通の生活に戻ればいいなぁと思います。
「やっと学校にも戻れました!」─アブディラヒム・アデン・ムルサルさん
アブディラヒム・アデン・ムルサルさん
──お名前、国籍、家族の人数、いつダダーブに来たか教えてください。
私はソマリア出身のアブディラヒム・アデン・ムルサルで、高等学校4年生です。7人家族で、大人3人、子ども4人です。2000年母国ソマリアからケニアに逃れ、IFO1キャンプで生活しています。
──コロナで学校が閉鎖になる前、学校ではどのような日常生活を送っていたのですか?
学校生活はいつもの通り楽しく、秩序だったものでした。先生も協力的で、授業は順調でした。特に私のクラスメートは最終学年で、全国学力テストに向けて一生懸命勉強していました。先生との関係も完璧なものでした。
──コロナで学校が閉鎖になった今、どのような日常生活になりましたか? また、家族の生活はどのように変わりましたか?
コロナで学校が閉鎖されてから、学校生活は一変しました。コロナは世帯の経済状況、先生達にも影響を与えました。移動が制限され両親も移動ができず、影響を受けました。学校閉鎖後、勉強を続けることは極めて難しくなり、家にいるより他にすることもなく、だらだらした生活を送っています。コロナは学生、コミュニティ、全キャンプの社会生活に影響を与えました。学力テストも延期され、学生の間に不安が走りました。家族生活にも劇的な変化をもたらしました。米国にいる兄からの送金で僕たち家族は生活できていましたが、コロナの影響で彼も影響を受け、僕たち家族への送金も途絶えました。
──将来の夢や、これから学校が再開したら何をしたいか教えてください。
やっと学校にも戻れました! 将来の夢はビジネスマンになることです。
ファルハン・アブディ・ハッサンさん
──お名前、国籍、家族の人数、いつダダーブに来たか教えてください。
私はソマリア国籍のファルハン・アブディ・ハッサンで、小学校8年生です。家族は1998年にダダーブキャンプにたどり着き、大人6人、子ども3人です。
──コロナで学校が閉鎖になる前、学校ではどのような日常生活を送っていたのですか?
コロナ前の学校生活は楽しく、充実していました。ほとんどの生徒は毎日学校に通っていて、生徒、教師、コミュニティの交流はとても活発でした。
──コロナで学校が閉鎖になった今、どのような日常生活になりましたか?
学校閉鎖後は、経済的、精神的、社会的に生活はとても困窮しました。個人的には、長期間学習できず、精神的に影響を受けました。今年の始め、12月までに学力テストを受験するつもりでしたが、残念ながらその夢は叶いませんでした。やる気を失いそうにもなりましたが、学校が始まり学習できるようになったので、今は希望があります。
──将来の夢や、これから学校が再開したら何をしたいか教えてください。
僕はまだ若く、叶えたい夢もあります。もっと勉強を続けて、教師になりたいです。
「早期結婚や学校を中退せざるを得ない女の子たちもいました」─ニーモ・ノア・ハラドさん
ニーモ・ノア・ハラドさん
──お名前、国籍、家族の人数(大人と子ども)、いつダダーブに来たか教えてください。
私はソマリアから来たニーモ・ノア・ハラドで、小学校8年生です。家族は、大人2人、子ども1人です。
──コロナで学校が閉鎖になる前、学校ではどのような日常生活を送っていたのですか?
コロナ前の生活は順調で、大変充実していました。勉強は、通常の学校とイスラム教の教えを学ぶマドラサの両方でいつもと変わりなく進んでいました。
──コロナで学校が閉鎖になった今、どのような日常生活になりましたか?
ロックダウンで学校が閉鎖されるとすぐに、状況は一変しました。移動も仕事もできず、社会的な交流もなくなり、生活は困窮し、独房にいるかのように感じました。このような生活に私は慣れていなかったので、マスクをつけることも、人との距離を取ることも難しかったです。
──コロナで家族の生活はどのように変わりましたか?
日常生活の変化を好まない人や、コロナのことを信じない人もいましたが、家族の生活は徐々に変化し、経済も下向きになりました。この閉鎖は、男の子より女の子に大きな影響を与えました。両親からプレッシャーを受け、その結果早期結婚や学校を中退せざるを得ない女の子たちもいました。
──将来の夢や、これから学校が再開したら何をしたいか教えてください。
私はもっと勉強をし、政治家になるという夢を叶えたいです。
新型コロナウイルス感染症の流行で、難民キャンプの子どもたちの生活も大きく変わってしまいました。しかし、そんな中でも彼らは将来に夢を持って懸命に暮らしています。
PWJでは、これからも彼らが安心して生活できる地域づくりを目指して活動してまいります。
引き続き、皆さまのあたたかいご支援をお願い致します。
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