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私たちの活動

【ニジェール食糧危機】4,266世帯に労賃の支払いを実施

アフリカのサヘル地域での干ばつによる食糧危機に対応するため、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)はニジェール共和国フィレンゲ郡において、住民たちを土地整備作業に参加させ、その労賃を支払うことで食糧を購入する手段を提供する「キャッシュ・フォー・ワーク」事業を実施しています。
このたび、作業に参加した住民らに労賃を支払いました。

お金を受け取った女性

10月11日・12日の2日間で1回目の労賃支払いを受けたのは、46の村から現場での活動に作業者を出している4,266世帯。支払所の中には、私たちプロジェクトメンバーが到着すると村人たちが拍手で迎えてくれた所もあり、また、多くの人が、現地のことばで「ありがとう」とお礼を言ってくれました。
支払が実施された翌週に、カニャ村で話を聞いたアリさん(男性、仮名)は、10人家族。今回のお金で、家族10人が5日間食べられる量のお米と、油などの調味料を買ったそうです。
また、話を聞いた別の男性、ムサさん(仮名)も調味料を買ったとのことですが、他には何に使いましたか、と聞いてみると、彼の答えは、私が想像していたものとは違うものでした。実は、お子さんがマラリアに罹ってしまったので、病院に連れていくために使いたいとのこと。ニジェールではマラリアで亡くなる子どもは後を絶たず、アリさんも、ここ数年で2人のお子さんを亡くしたとのことでした。
また、2人は今回受け取ったお金の一部で子羊を買って、大きくなったら売って利益を得たいとも話していました。

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お金を受け取った男性

続いて2回目の労賃支払いは10月24日に行われました。イスラム教徒にとって重要な羊犠牲祭(西アフリカ諸国では「タバスキ」と呼ばれる)の直前であったため、お金の一部をこの祭りのために使いたいと考える人が多かったようです。
今回は、女性の参加者のうち、バンゲルブザエ村のマリアムさん(仮名)に話を聞きました。「近頃は「クルバクルバ(主食であるミレットを練ってペースト状にした同国の代表的家庭料理)」につけるソースの具を買えませんでした。でも、1回目に受け取ったお金で乾燥タマネギの葉を買って、子どもたちは栄養価の高いソースを食べることができました。ありがとう。2回目の労賃は、タバスキ用に子どもたちの洋服を新調し、いつもより少しよい食事を作るために使います。」とのことでした。
「2回目に受け取ったお金で小さなヤギを買って2~3か月育てて大きくなったら売って、そのお金で次は大きなヤギを買い、また育てて売って、その次は羊。最後は牛を飼えるまでに今回のお金を大きく活かせたらいいですね。」と話すのは、バンゲルクフェヤワ村の女性ラキアさん。今年は豊作とのことですが、子どもが病気になるなどお金が必要な時に備えて、現金収入が得られるチャンスは大事にしたいと真剣な眼差しで話してくれました。

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支払いを待つ人びとの列

リュマ村の男性イソッフさんは、1回目の支払時には畑での収穫開始はまだでしたが、受け取った労賃で食糧が買えました。
「事業に参加していなかったら、さらに借金が必要だった。2回目にもらうお金で借金は返せるし、自分の畑の収穫もやっと始まったから、タバスキのために、せめて子どもたちの分だけは新しい洋服を買ってあげたい。」とほっとした顔で話してくれました。

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支払いの様子

今回の事業に参加することで得られたお金には、必要な食糧などを買えること以外に、大きな恩恵があったとの声があります。それは、多くの人びとは、収穫後すぐに穀物を売らずに、収穫がすべて終わった後で、自家消費用に残す量と、販売に回す量をきちんと計算した上で、価格が値上がりする時期を狙って売りたいと考えており、そうした選択が可能になったということです。
通常は、前の年の不作の影響で借金がある場合などは、残念ながら価格が安くても収穫したものをすぐに売って返済しなければならなかったのですが、このように売る時期を計画的に考えられるようになったことは、人びとにとって大きな意味があります。
事業参加者に対する労賃の支払はあと1回。ATACCA(フランス語での本事業名)メンバーは、引き続き地元の人びとと協力して、この事業が円滑に進むよう最後まで努力を続けていきます。
本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金や寄付金により実施しています。

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受取ったお金の使い道を聞くATACCAメンバー

報告:杉本晃子(事業部)
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