【イラク】シリア難民5,121世帯の住まいを改善
ピースウィンズでは2018年より、米国国務省人口・難民・移住局(PRM)からの助成金と皆さまからのご寄付により、アルビル州にある4つのシリア難民キャンプの住まいを改善する事業を開始し、2020年からは本助成金で同様の活動をドホーク州の2つのシリア難民キャンプにも拡大しました。
2024年には、あらたに625世帯の障がいのある方や高齢の方の住まいを改善し、31のキャンプ内公共施設のアクセス改善を行いました。住まいの改善では、各世帯のニーズに基づき、手すりや障がい者用スロープ、西洋式トイレ、風呂場に腰を下ろすスペースを設けたりしました。キャンプ内公共施設の改善では、障がい者用スロープ・手すりの新設や、雨や日差し避けの天蓋の設置を行いました。
ドホーク州ドミズ1難民キャンプの改善した住まい(写真上)と公共施設(写真下)
先行事業同様、支援対象キャンプのシリア難民を本改善工事の作業員として雇用し、短期雇用の機会を提供するキャッシュ・フォー・ワーク(Cash for Work, CfW)も行い、雇用創出と技術力アップ、主体性の向上にも貢献しました。2024年は2,650名の作業員(内507名が女性)が合計12,434日間、CfWに従事しました。
本事業対象地のドミズ1難民キャンプに居住する21名の障がいのある方のために車椅子の供与も行いました。
受益者に車椅子の使い方などを説明するピースウィンズのスタッフ
2024年9月22日には受益者、PRM、現地関係当局、支援対象キャンプのキャンプマネージャー、関連セクターの関係者約100名を招待し、本活動の成果報告会を開催しました。受益者のアクセスを考慮し、また、コミュニティ、ドナー、パートナーへの説明責任を果たすため、本事業で改善した公共施設で成果報告会を行いました。成果報告会では、改善した住まいと公共施設の改善前後の写真を見せながら紹介し、本事業で達成した成果について報告しました。翌日9月23日は、ピースウィンズ・イラク事業のエルビル事務所とドホーク事務所の全スタッフが参加し、そこに本部からの出張者も加わる形で、本事業の成功事例や課題、今後の改善点などについて話し合う内部セッションを行いました。
2024年9月22日にドミズ1難民キャンプの公共施設で開催した成果報告会の様子
2024年9月23日の内部セッションの様子
シリア情勢は依然として危機的であり、シリア難民が故郷に戻ることは厳しい状況が続いています。また、イラク北部クルド人自治区には、国内避難民キャンプが多数あり、そこでも引き続き支援が必要とされています。「誰一人取り残さない」ことを目標に、ピースウィンズはシリア難民キャンプでの活動を継続するとともに、今年9月30日から開始したPRM事業ではエルビル州とドホーク州の国内避難民キャンプにも支援活動を拡大して参ります。皆さまからのご支援を引き続き、よろしくお願いいたします。
※本事業は、米国国務省人口・難民・移住局(PRM)からの助成金と皆さまからのご支援で実施しています。