新たに20本の井戸完成、住民の使用状況も確認
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が南スーダンのジョングレイ州で2月以降に建設を進めていた20本の井戸は雨期入り前に無事完成し、コミュニティへの引き渡しやワークショップ(研修)も終了しました。5月以降、雨期ゆえの悪路に悩まされながらも、PWJの水分野のエンジニアと事業チームがこれらの井戸をまわり、ワークショップで学んだ衛生知識が住民にどのように定着しているか、家畜を避けるためのフェンスがきちんと作られているかなどの確認と対応の作業を進めています。
草原地帯のなかにできた井戸
(C)Peace Winds Japan
PWJは2006年、ジョングレイ州の南ボー郡で18本の井戸建設を行いましたが、増え続ける人口をカバーするには十分ではありませんでした。さらに困難な状況にある地域での井戸建設を計画し、対象コミュニティとの話し合いを行って、事務所のあるジョングレイ州ボーから130キロ(車で2時間半)ほど北上したところにある東トゥイッチ郡をはじめ、ボー郡、ドゥク郡の3郡内で20本の井戸を完成させました。
コミュニティごとに連日開いたワークショップ
(C)Peace Winds Japan
井戸が掘り終わると、工事中からこの瞬間を待っていたコミュニティに対して井戸の引き渡しのためのワークショップを開催。40度前後の気温のなか、3月から4月にかけて各地で連日ワークショップを開き、手押しポンプの維持・管理などの指導と、衛生教育を行いました。ワークショップの主な対象は、コミュニティのチーフ、女性、教師を含む井戸管理グループのメンバーですが、コミュニティの中で人が集まりやすい場所ということで教会で開催されることが多かったため、教会の牧師さんや中高生が参加してくれることもありました。長く内戦下にあったスーダンでは、読み書きのできる人数は限られ、PWJが井戸を建設した地域では、学校の先生や難民キャンプで教育を受けた帰還民を除いてはほとんどが読み書きはできなかったため、安全な水の使い方について絵を使って話し合いました。
ワークショップ会場の教会によくある“壁画”
(C)Peace Winds Japan
使用状況の確認のときに、たとえば家畜を避けるためのフェンスの強度や材料、作り方があまりよくないことがわかった場合には、「雨期は衛生状況が悪化するのでしっかりしたフェンスが重要」ということを理解してもらったうえで、別の日に一緒に修復作業を行うようにしました。
雨期の南スーダンは、水たまりや雨水が身の周りにあることにもなるため、遠くの井戸まで行くよりは近くの水たまりの水を使う……ということにもなりかねません。「不衛生な水を飲むと病気になる」といった衛生知識が普及することで、子どもの病気を大きく減らすこともできるので、保健衛生の指導にも取り組み、より多くの人びとが故郷で平和に暮らしていける一助になれたら、と願っています。