【ウクライナ】教育機材を提供した学校で秋のお祝い
昨年ロシアがウクライナに侵攻した3日後から1ヶ月占領されたブチャ地区モティジン村の唯一の学校で、秋のお祝いを見学しました。占領されてからウクライナ軍に解放されるまでの間の激しい戦闘によって焼け落ちた教室の中には、まだ改修が進まず傷跡を残しているところもありますが、ピースウィンズが提供した机や椅子、電子黒板、ホワイトボードや音楽教室のキーボードなどを使って、子どもたちが勉強に取り組む姿を見ることができました。
見学したのは「秋のお祝い」の日で、子どもたちは秋野菜を使った飾りに彩られた教室で、「秋」を呼ぶ歌や踊りを披露。その後、親たちが用意してくれたたくさんのおやつを頬張ってうれしそうでした。
校舎内には、まだ修復できずに2階の床が抜けたままの教室や、廊下に焼け跡の残る箇所などロシア軍による占領の傷跡が残っています。
一方で改修され、ピースウィンズが机や椅子、ホワイトボードなどを提供した教室では、子どもたちが数学や歴史の授業を熱心に聞いていました。歴史の授業に出ていたウラディスラヴくんは、「自分の体格に合わせられる机や椅子がとても快適で勉強しやすい」と話してくれました。
「海外文学」のクラスでは、先生が「この前、日本の『一寸法師』を読みましたよ」と話してくれました。子どもたちも、「そうそう」と言いながら、一寸法師が針を刀にしたことなど物語で印象に残ったことを話してくれました。先生によると、このクラスではインドや中国、ドイツやアメリカなど世界各地の物語を読むそうです。日本の作品だと芥川龍之介の「蜘蛛の糸」、松尾芭蕉の俳句などが教科書に載っていると言って見せてくれました。
教室の改修が終わって教育機材が整っても、今のウクライナではシェルターが整備されないと学校が再開できないため、モティジン学校ではゴミ置き場になっていた場所をシェルターにしました。種をまいた植物が芽を出して、外から見ると「ホビットの家みたいでしょう」と校長のヴァレリアさんは笑います。
このシェルターに子どもたちが逃げ込んだ時に寒くないように、ピースウィンズはストーブと、水がなくても微生物が排泄物を分解してくれるバイオトイレを提供しました。ここモティジンでも空襲警報が頻繁に出されるため、先生たちはシェルターに移動して授業を続けなければなりません。少しでも快適で安全に、学習を途絶えさせることがないようにと願う先生たちの思いが形になったシェルターでした。
*ウクライナにおけるピースウィンズの支援活動は、みなさまからのご寄付やジャパンプラットフォームからの助成金により実施しています。