【ウクライナ】治療再開後の入院生活:小児がん患者の個別ニーズに寄り添う
ロシア軍によるオフマディット小児病院に対する空爆では、ミサイルが2階建ての透析病棟に着弾して建物が崩落しました。病院内の子どもたちにとって、学びの場となっていた院内学級のあった部屋も跡形もなくなりました。
その向かいにある10階建ての病棟は、爆風で窓や外壁などが損壊し屋内にも被害を受けたところが多かったものの、小児がん病棟の一部は被害を免れ、避難していた36人の小児がん患者が病室に戻り、治療が再開されています。
小児がんの治療には、半年から1年程度の長期入院が必要です。その間、保護者(多くは母親)が子どもとともに病院に寝泊まりしています。この病院へは大きな注目もあって、多くの支援物資が届けられていましたが、私たちは直接、母親に入院生活や困りごとについて聞くことで、個別のニーズを確認しました。子どもの治療について心配する声が多く、放射線治療の副作用で、皮膚のかゆみ、赤み、荒れがでやすくなるため、このような炎症を防ぐスキンケア用品が必要との要望が寄せられました。
加えて、普段使っている特別な薬品、衛生用品、おむつなども不足しているとのことだったため、要望のあった物資約20人分を調達し、がん治療のスキンケア用品とともに患者の母親たちに直接届けました。また、攻撃で病室内にあった電化製品が破損したため、電子レンジ、扇風機、電気ケトルを病院に提供しました。
ピースウィンズは、オフマディット小児病院に戻ることができず、他の病院での治療を余儀なくされている子どもたちへの支援も行っています。転院先の病院によっては、急な患者の増加のため、エアコンや冷蔵庫が設置してある病室が足りなかったり、病棟にボイラーがなかったりするため、これらの設置に向けて準備を進めています。