トイレの後には衛生教育トレーニング
ピース・ウィンズ・ジャパン(PWJ)は2008年、リベリアで帰還民支援事業の一環としてトイレの建設を進めました。しかし、トイレを建設するだけでは衛生状態の改善は難しいため、トイレを建設した後には必ず村の代表たちに集まってもらい、衛生教育トレーニングを実施するようにしています。
衛生教育トレーニングの様子
(C)PWJ/Maho MIURA
トレーニングの内容は幅広く、トイレや井戸の使い方だけではなく、日常生活での注意についても触れていきます。トレーニングの進め方は、PWJスタッフが一方的に話すのではなく、出席者である村人たちの意見を尊重して、それぞれグループに分かれて課題を話し合ってもらったり、発表してもらったりします。そのようにして村人たちが積極的に参加しながら学べる雰囲気をつくり出しています。
また合間には、トレーニングに飽きないように眠気覚ましも兼ねて、歌を歌ったりダンスを踊ったりして、出席者を楽しませながらトレーニングは進められていきます。
写真左:参加型のトレーニング
写真右:トレーニングの合間の歌や踊り
(C)PWJ/Maho MIURA
出席者には、忙しい仕事の中を出席してくれた感謝を込めて、PWJのロゴとトレーニングの名前の入ったTシャツを配ります。このTシャツを着ていれば村の人たちに「自分はPWJのトレーニングを受けました。何でも聞いてください」というメッセージを発していることにもなります。
Tシャツの後ろには、絵でメッセージが描かれています。絵で描いてあれば、大人にも子どもにも、文字を読めない人にも、見るだけで伝えたい意味がはっきりとわかるからです。
これらの絵がどんなメッセージを送っているかわかるでしょうか。
(C)PWJ/Maho MIURA
こちらの絵は、一見なごやかな村の井戸の風景に見えますが、悪い例です。井戸に家畜が近づいていて直接井戸から水を飲んだりしています。家畜が井戸の周りで用を足したりもするので、衛生面からいって好ましくありません。PWJでは、井戸を建設または修理をしたときには、周りに柵を作って家畜から井戸を守って清潔を保つように村人に説明しています。
(C)PWJ/Maho MIURA
こちらは、川で手前の女性が水をくもうとしている絵です。こちらも悪い例です。右後方では洗濯している人がいます。実際にリベリアでは、洗濯や水浴びを川ですることが多いため、川の水は衛生的ではありません。そのためPWJでは、飲み水や調理に使う水は、川からでなく井戸からくんでくるように説明しています。
このように、いろいろな工夫を凝らしながら、衛生という概念を村の誰にでも理解してもらえるように、トレーニングを進めています。