順調に進む小学校建設
ピース ウィンズ・ジャパン(PWJ)は、2003年12月に発生したバム地震緊急支援として、被害を受けた学校に対して仮設校舎の設置を行いましたが、そのなかのひとつ、バム市内のシャヘッド小学校では、2004年の9月から、仮設校舎にかわる恒久的な校舎の建設を進めています。耐震技術を取り入れたこの小学校は2006年1月に完成予定。いまだに仮設校舎で授業を受ける子どもたちがその日を心待ちにしています。
写真左:シャヘッド小学校の建設現場。子どもたちも奥の仮設校舎から見守っている。
写真右:着々と進められる内装工事
(C)Peace Winds Japan
シャヘッド小学校は、バム市内の中心部に位置する児童数約200人の男子小学校。2003年12月26日にケルマン州バム周辺を震源としたM6.6の地震によって壊滅的なダメージを受けました。翌年3月にPWJは、仮設校舎5教室分と教室間の中庭に架かる大きな屋根を設営。その後、教育省との打ち合わせなどを経て、2004年9月から、恒久的な校舎の建設に取り組んでいます。被災した校舎の撤去から始まったこの事業は、現在屋根の工事が終了、内装工事が着々と進められています。
PWJは、この校舎の建設にあたり、「コンプレスド・アース・ブロック」と呼ばれるブロックを使用した耐震技術を取り入れました。このブロックは、それぞれに凹凸があるインターロッキング式という形状であるため、現場での施工が簡単、かつ正確に積むことができます。ブロックの製造機はインドから輸入。また、縦・横に鉄筋を配置することが容易なため、耐震性の高い組積造(ブロックやレンガを積上げた構造)をつくることができます。仮設校舎で使用した大屋根は校舎エントランスホールに移設し、再利用されることになりました。
工事が終了した屋根部分をチェックするPWJスタッフたち
(C)Peace Winds Japan
バム市では、いまだにほとんどの児童が仮設住宅から通学し、それぞれの自宅の建て直しまでには相当な時間がかかります。しかし、少しずつではありますが、学校での復興が進んでいることを、子どもたちが肌で感じることは、彼らが将来への希望を持つことにつながっているようです。また、震災後の児童の精神面についてはイラン教育省も高い関心を持って取り組んでおり、バム市内にある小・中学校すべてに担当教員を置き、不安定になりがちな児童に対する細やかなフォローを行っています。
写真左:PWJスタッフが来たのを見て仮設校舎の窓から乗り出す子どもたち
写真右:新校舎を心待ちにしながら、仮設校舎で勉強する子どもたち
(C)Peace Winds Japan
PWJが支援した仮設校舎の中で授業を受けながら、約200人のわんぱくな男の子が、新しい学校が出来上がるのをわくわくしながら待っています。来年1月には5つの教室や図書室、礼拝室などから成る校舎がすべて完成。まもなく新しい教室から元気な声が聞こえる予定です。
この事業は、ジャパン・プラットフォームの協力を得て進めています。