建設事業を支えるエンジニア、サリム
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)はリベリアで学校などの建設を進めています。その建設事業を取りまとめているのがエンジニアのサリム・モッタギです。サリムはイラン人で、今までにもPWJのスタッフとしてパキスタンやイラン、そしてここリベリアで働いていましたが、今はボインジャマ国立高等専門学校職業科の修復工事をリードしています。
建設現場で指揮をとるサリム(右)
(C)PWJ/Maho MIURA
サリムの仕事は多岐にわたります。設計図を作り、そこから必要な資材の量を見極め、そのうえで建設業者とPWJ現地スタッフを指揮して、工事を進めていきます。サリム自身も毎日現場に行って進捗を確認し、スタッフと細部にわたる打ち合わせをし、建設業者へも直接、厳しい指示を出します。
資材を細部まで確認
(C)PWJ/Maho MIURA
木材の購入一つにしても、現地スタッフですと、注文した大きさから多少の違いが出ていたり、木目に穴が開いていたりしても、そのまま受け取ってしまうことがあります。しかし、サリムは、一つ一つを確認して、水準に合わないものは受け付けずにやり直しを求めます。時間のかかる作業ですが、まだまだ建築の水準が高くないリベリアで国際的に通用するような建設事業を実施するには、このような厳しい目が必要です。
専門家による厳密な確認がないと、現地スタッフと建設業者は今までのやり方や、自分たちが認めている基準で建設を進めてしまうことがあります。また残念ながら、業者による手抜きや資材のごまかしなどの可能性もあるため、エンジニアによる監視も必要になってきます。
設計図を元に事務所で作業
(C)PWJ/Maho MIURA
現地の業者や村人たちと一緒に作業をするとき、サリムはいつも、いいます。
「いい仕事をしよう。10年後、20年後に、あなたたちの子どもや孫が『この学校は、ぼくのお父さん、おじいさんが建てたんだよ』と自慢できるような、そんな学校を建てよう」
サリムは「つくっているのは建物ではなく、リベリアの未来」という思いで仕事を続けています。