イェーチョーカ村に僧院が完成!
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、2008年5月に発生したサイクロン被害に対する支援を続けてきました。2009年4月に日本人スタッフは帰国したものの、PWJが学校・船着場修復、子豚の配布などを実施してきたボガレ地区マグー郡のイェーチョーカ村では、村人や地元の大工たちが中心になって、被災した僧院の修復工事を実施してきました。完成までにはいろいろな問題もありましたが、その度に、現地スタッフと村人や大工たちが話し合いを重ね、7月下旬に待ちに待った僧院修復がついに完成し、PWJの日本人スタッフも参加して8月に引渡式を行いました。
この僧院は、サイクロン前から村人自身が建設を進めていましたが、サイクロンのために建築中の建物も資材も流れてしまいました。被災後、村人たちは、敷地内にビニールシート張りの小屋を立て、一部を村の学校として、別の一角を僧院として使用してきました。
信仰心の強いミャンマー人にとって、僧院はとても大切な「心のよりどころ」でもあります。僧院修復を望む声が多く寄せられたため、住民との話し合いの結果、災害時の避難場所としても使用できる施設としてPWJが修復を支援することになりました。修復中に雨期も始まり、悪天候にも悩まされました。
雨期のため、引渡式前の数日は毎日、雨が降り続き、村内の道もぬかるみ、くるぶしまで泥にはまってしまうほどでした。しかし、みんなの僧院完成を喜ぶ気持ちのおかげか、式の時間になると、すっかり雨は上がり、私(山元)が滞在した数日間のうち、見たこともなかったような青空が広がりました。
僧院には、大事な行事の時だけに用いる旗が飾られました。村人たちは、サイクロンの影響でいまだ以前のような収穫がないながらも、式のために、たくさんのごちそうを用意してくれました。式では、郡長や僧侶が完成を喜び、「村人みんなで協力して、村を発展させていこう」と決意を述べました。
村人たちは、現地スタッフや私を見ると、にこにこしながら、口々に僧院の完成の喜びを伝えてくれました。
「私たちの村にこのようなすばらしい僧院ができるとは思ってもいませんでした。立派な僧院がある村は大きく発展できる、と言われているので、とてもうれしいです」
「壁も屋根もしっかりとした建物で、大雨や大風にもびくともしないので、そんなときにここに来れば安心できます」
「遠い日本から私たちの村を支援するために来てくださり、ありがとうございます。日本のみなさんにもよろしくお伝えください」
写真右:今年生まれた赤ちゃん
(C)PWJ/Megumi YAMAMOTO
サイクロン発生から1年以上がたちましたが、収穫は被災前のようには戻らず、しばらく厳しい生活が続くようです。家族や友人を失った悲しみや失望は今でも消えてはいないでしょう。しかし、以前は笑顔をみせなかった子どもたちも、今は笑顔で迎えてくれるようになりました。2009年に入って、いくつもの新しい命も誕生しました。そんな変化を目の当たりにして、村が確実に前向きに進んでいることを実感し、心強くも感じました。
この僧院修復の完成をもって、PWJのミャンマー支援活動は終了しますが、これからも村人が力を合わせて、村を発展させていくことを心から願っています。