【ニジェール食糧危機】米NGO Mercy Corpsとの連携により、事業を効率化
アフリカのサヘル地域での干ばつと食糧危機に対応して、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が今年9月からニジェール共和国で実施している「キャッシュ・フォー・ワーク」事業は、同国フィレンゲ郡にて4,200人あまりの住民が土地整備の作業に参加し、食糧を買うための現金収入を得るプロジェクトです。
このプロジェクトは、現地のパートナー団体であるMercy Corps Niger(マーシーコー・ニジェール、以下「MCN」と略)との協力により実施しています。Mercy Corpsは、米国に本部を置く国際NGOで、PWJは10年以上前から提携関係を築いており、最近では東日本大震災直後から開始した東北の被災者に対する支援についても、連携協力してさまざまな事業を行ってきました。
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2011.4.2 米NGO Mercy Corpsとの提携、中長期的な事業計画に向けて
MCNは、ニジェール共和国で住民が半農・半牧畜の生活を送る地域での支援活動を2005年から継続しており、今回の食糧危機については、食糧の配布や医療支援、食糧配給券の配布による支援など、多くの緊急支援を展開しています。
PWJは、現地の事情に精通したMCNと連携して活動することで、新規に支援活動を始める場合には最初に行うのが不可欠な、NGOとしての政府への登録など、多くの時間を要する諸手続きを省略し、迅速に事業を開始することができました。さらに、事務所の機能や後方支援の体制が共用できるほか、現地スタッフの雇用に当たっても、すでに経験を有する人材の確保が可能となるなど、事業運営の面でも大きく効率化が図られています。
8月に実施した事前調査においては、PWJが今回活動しているフィレンゲ郡で、MCNがこれまでに実施してきた事業の経験・実績に基づいた貴重なアドバイスを聞くことができ、現場での作業の進め方や、地域の人びととのより効果的な協力の方法など、計画の立案のみならず、事業の実施においても、過去の多くの教訓が活かされています。
MCNの副代表であるカイルさんは、「ニジェールの食糧危機は、慢性化してしまう危険性が常にあり、それを克服するための地元の回復力をどのように高めていくかが大きな課題となっています。今までもさまざまな国で協力してきたPWJと、ニジェールでATACCA(フランス語での本事業の呼び名)事業を一緒に行うことができて、うれしいです。」と話してくれました。
MCNカイル副代表
PWJとMCNがタッグを組んで、これまでの経験に基づく知恵を絞って作り上げた今回のATACCAプロジェクト。作業現場はますます暑くなってきましたが、ATACCAチームは毎日地元の人びととともに汗を流して奮闘しています。今週末までの作業を終えたら、来週には人びとが労賃を受け取れる予定です。そのお金で食べ物を買って、家族の皆さんが早く笑顔になれますように。
土地整備の作業に参加する住民たち
作業現場で食事をとる子ども
報告:山本理夏(緊急対応部長)
本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金や寄付金により実施しています。
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2012.9.28 地域住民600人が参加し、事業が本格始動!