【パレスチナ】ガザで避難生活を送る障害のある人たちに現金を届けました
今回のガザの危機が始まって5か月がたった3月、ピースウィンズのエルサレム事務所に一通のメールが届きました。送信者は、以前実施した「若者の就労支援(キャッシュ・フォー・ワーク, CfW)事業」の参加者で、車いす利用者のAyaさんでした。北ガザに住んでいたAyaさんは、大学で経営学・会計学を修め、先のCfW事業では特別支援学校で事務の業務にあたっていました。彼女からのメールには、10月7日以降の情勢悪化を受け、北ガザ県から中部地域へ避難して不自由なテント生活を送っていること、自身の周囲で同じく避難生活を送る障害者の厳しい生活状況が記されていて、私たちは何とか支援が届けられないか検討を始めました。ガザは通信事情も悪く、メールのやり取りにも困難があるのですが、AyaさんとSNSなども利用したやり取りを重ね、それぞれのニーズに応えられる現金給付の実施を彼女が所属する「ガザ障害者ユニオン」を通じて実施することを決めました。同時に、日本の障害者の団体である「DPI日本会議」と「全国自立生活センター協議会」に相談し、彼らを通じて「ゆめ風基金」からこの活動の資金援助を受けられることとなりました。
その間にもイスラエル軍による軍事攻撃が続き、インフラの破壊等で事業の実施は困難を極めましたが、4月下旬から5月初旬にかけて、障害のある82人に一人当たり現金300~500シェケル(13,000~21,500円相当)を配付することができました。
現金を受け取った方からは、「車いすを修理し、移動の自由が利いて支援にアクセスしやすくなった」「病気に苦しんでいたが、医薬品を購入することができた」「野菜を買って子どもたちに健康的な食事を食べさせることができた」「衛生用品を購入し、テントの生活状況を改善できた」等の声が届きました。
現場で実施を担った「ガザ障害者ユニオン」のチームは、自身も過酷な避難生活を送る中、精力的に事業に取り組み、完遂してくださいました。チームの責任者は、「日本の障害者の皆さんから、ガザの障害者のために寄付金が集められたと知らされたときのことは忘れられません。それは、日本の人々の真摯で感動的な姿勢を表していて、私は大いに感動し、また勇気づけられました。そして、ガザの障害のある人たちに『日本にはあなたたちを支援し、応援している友人がいます』というメッセージを届けることができました。彼らに(お金という)物質的な利益以上に精神的なサポートを届けることができました。共に仕事ができたことを光栄に思います」とのメッセージを寄せてくださいました。
ガザ地区では、イスラエル軍による無差別攻撃が8か月を超え、6月5日現在で既に36,000人以上が殺害され、81,000人以上が負傷しました。
5月7日以降、150万人以上の家を追われた人びとが押し寄せていた南部ラファを始め、多くの地域でイスラエル軍が大規模な地上侵攻を行い、市民の犠牲は後を絶ちません。エジプトからの物資搬入が行われていたラファ検問所も制圧され、同国からの支援物資が激減し、元々「破滅的」とされていた飢餓状態に更に追い打ちをかけています。
ガザでは筆舌に尽くしがたい状況が続いていますが、ピースウィンズは今後も「必要な人に必要な支援を」を合言葉に、脆弱な立場に置かれた人びとに寄り添い、少しでも状況を改善できるよう活動してまいります。
さて、最後にお知らせです。
ピースウィンズは、今回の現金給付事業の助成元であるゆめ風基金と共に、6月13日(木)の18時より、オンライン報告会「ガザ障害者支援の現場から」を開催します。
【参加方法】
・Zoomでのご視聴 : Zoomリンクはこちら
ミーティングID: 833 2678 9024
パスコード: 676155
・YouTubeライブ : YouTubeリンクはこちら
皆様のご参加をお待ちしております。