【パレスチナ】停戦を受けて
2025年1月19日午前11時15分(現地時間)、停戦合意が発効し、人びとの命を奪ってきた空爆と砲撃は一旦止みました。
イスラエル人の人質3人が解放され、それと引き換えに、イスラエルは刑務所に収容していたパレスチナ人90人を釈放しました。今後6週間の間に、ガザで拘束されているイスラエルの人質はさらに30人が解放され、イスラエルは刑務所に収容しているパレスチナ人約2,000人を解放する見通しです。
停戦合意が発表された直後に、ガザでモニタリングの役を担っているサミーラからの電話を受けました。彼女は、2023年10月の情勢悪化以降、ガザ市の自宅に家族と共に留まり続けています。
「たくさんの物や人を失ったけど、自分の家がまだあって、夫と4人の子どもたちも無事で、なんとか15か月間生き延びることができた」、「たった1時間前まで近くで激しい空爆があったので半信半疑だ。自宅周辺は人がほとんど退避してしまったので静かだが、実家のあるガザ市中心部に近いエリアでは、人々が通りに出て、笑顔で祝っているらしい」と話す彼女の声から、これまでになく安堵している様子がうかがえました。しかし、この15か月間にサミーラ一家が負った心の傷は深く、停戦の実現でもそう簡単に癒えるものではありません。
「自宅マンションに砲弾が直撃した時の恐怖が忘れられない。亡くなった母、兄、親戚や数々の友人の事も思い出さずにはいられない」
「特に夫は、北ガザ県に住む親戚をほとんど殺されたことを改めて思い出し、深い悲しみに包まれている」とも話していました。

発効した停戦合意は3段階に分かれており、今回の停戦はその第1段階で6週間と短いものです。この6週間中に第2段階(恒久的な停戦)、第3段階(ガザの復興開始)の詳細が協議されます。厳しい交渉になることが予測され、実際に合意に至るのか、恒久的な停戦が実現するのかはまだ不透明です。人々が元の暮らしに戻るには、破壊された家屋、教育施設、医療施設、あらゆるインフラの復旧が必要で、大変な時間と費用がかかります。
ピースウィンズは、引き続き現地の市民団体やスタッフと連携しながら、その時々のニーズに対応する活動を続けてまいります。同時に、今回の停戦が恒久的なものになり、殺戮が二度と繰り返されないよう強く求めます。