【南スーダン】初めてのジュバ出張を終えて
前回に続き、アフリカ事業担当の竹中より出張報告をお届けします。前回は、南スーダン国内で治安悪化の懸念があったため、直前で南スーダンに入ることができなくなったことをお伝えしましたが、今回は無事に首都・ジュバに入ることができました。
涼しく快適なナイロビから飛行機で約1時間。ジュバの空港は、NGO関係者と思われる人たちでごった返していました。ナイロビからさほど遠くないのに、なぜこんなに、と思うほど気候は違い、気温は35度を超え、強い日差しが痛いほどです。街中は思ったよりも都会でした。ホテルやレストランなどさまざまなお店が立ち並び、さらにあちこちに建設中の大きな建物を見かけました。道路にはランドクルーザー等、大型の日本車が砂埃を上げながら行き交っていました。
ジュバ市内のスーパー
市場やスーパーには、近隣各国から輸入された食料品や生活用品が並び、建築資材を扱う店はとりわけ賑わいをみせているようです。ジュバはかつて、ジュネーブを超えて世界一物価が高いといわれたこともあり、商品の価格は軒並み日本と同じかそれ以上であるような印象を受けました。たとえば、豆の缶詰が20SSP(南スーダンポンド)で約300円、お菓子のプリングルスが38SSPで約400円などです。ほぼすべてのものを輸入に頼っているこの国では、物価が高いことに加え、品薄になることもしばしばあるそうです。ガソリンスタンドには給油のため1kmほどにも及ぶ車列ができていました。一度に給油される量には制限があるため、何度か列に並びなおさないと満タンにはできません。
10月6日、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が国内避難民キャンプに隣接する学校で建設したトイレが完成し、記念式典が開かれました。在南スーダン日本国大使館の紀谷昌彦大使やPKOで派遣されている自衛隊も参加し、盛大にセレモニーが行われました。子どもたちは歌や踊り、衛生啓発に関する寸劇などのかわいい出し物を披露し、自衛隊の皆さんも迫力満点の和太鼓を披露されました。
紀谷大使は、「この学校にトイレができたことは本当に喜ばしいことです。でもあと二つ、喜ばしいことがあります。それは、皆さん自身(地域の人々)が衛生普及活動に取り組み、実践していること。もうひとつは、日本のPWJと南スーダンのNGOがともにこの活動を進めているということです」と述べ、PWJと現地の人たちとの協働を高く評価しました。
写真左:完成し、リボンがかけられたトイレ
同右:セレモニーで衛生啓発活動で学んだことを披露する生徒たち
南スーダン国内は現在も治安の問題から日本人の駐在が制限されているため、PWJスタッフは隣国ケニアのナイロビに拠点を置き、月に1回首都ジュバに出張し、事業を管理しています。駐在ができないため、協働している現地NGOとの連絡はメールや電話になりますが、支援とはどちらかがどちらかに一方的に提供するものではなく、手を取り合って知恵を出し合って一緒につくっていくもの、というスタンスで支援を継続しています。南スーダンでは、8月の和平合意後も戦闘が続いており、スタッフ駐在までの道のりは長くなりそうですが、現地の人たちにとって最も必要な活動を形成する基盤になるように、支援を継続していきたいと改めて感じました。
現地メディアの取材を受けるPWJ現地代表・清水
報告:竹中奈津子(南スーダン事業担当)
※この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成や、皆さまのご寄付で実施しています。