【スリランカ】有機農業研修生カーリスが来日
「スリランカのほとんどの農家の人たちが農薬の危険性に気付いていない。収入が多いことはもちろん重要だけど、有機農業の大切さも分かってもらいたいんだ。」
そう真剣な面持ちで話すのは、今回2018年3月10日から4月1日までの23日間スリランカから日本の有機農業を学ぶため、単身来日したスリランカ人の青年カーリス(30歳)。広島県神石高原町の有機農業を専門に扱う田邊ファームで農業研修員として受け入れていただきました。
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)では現在、スリランカで有機農業を実践するためモデルファームの建設を進めています。地域農家の有機農業に対する意識の向上や化学肥料に頼る農法の改善を促し、地域農産品に対する価値観や農家の収益を向上、地域全体として成長を目指して活動しています。今回は彼がこのプロジェクトを代表して、日本での有機農業研修に参加いたしました。
カーリスからのメッセージ・有機農業研修の様子
私の名前はカーリスと言います。PWJのスリランカ事務所でプロジェクトのアシスタントとして働いています。私たちのチームは、トリンコマレというスリランカの東部にある県で稲作農家や酪農家の生計支援をしています。今回、日本で2週間の間、野菜の有機農法について学んできました。
広島県の神石高原町にある田邊ファームの田邊さんから有機野菜の栽培方法をたくさん学びました。30種類以上の有機野菜を栽培し、鶏も有機的に育てています。本当に新しい経験を沢山できましたし、有機野菜の栽培技術や知識を習得できました!
耕作:耕運機を使って掘削するカーリス。耕運機の使い方や様々なコツ等を指導していただきました。
種子管理:種子を苗ポットに植えるカーリス。温度や湿度管理など種子の適切な管理方法を学びました。
潅水:野菜の苗やポットに潅水するカーリス。潅水方法や適切な水量の調整の重要性などを学びました。
収穫:野菜を収穫するカーリス。作物収穫時の注意点等、丁寧な日本の収穫作業について学びました。
包装:野菜を出荷用に包装するカーリス。消費者に魅力的に見えるような包装等、パッケージの重要性も学びました
日本で習得した知識や経験をスリランカの同僚たちや農家の皆さんに伝えられることがとてもうれしいです。
田邊さんと農場スタッフのみなさん、そして日本で出会った全てのみなさん、本当に感謝しています。ありがとうございました。
カーリス
彼の実家はもともと農業で生計を立ており、PWJの現地スタッフとして採用される前は、実家の農業を手伝っていました。今はPWJの仕事をしながら時間があるときはお兄さんの田んぼを手伝い、実家の畑では様々な野菜を栽培しています。
(左)カーリスのトウモロコシ農園 (右)カーリスの家族
幸せそうな彼らも2005年に再燃したスリランカの内戦時は辛い経験をしました。彼の故郷サンプール村は内戦の際に戦地となり家屋を破壊され、多くの人びとは故郷を追われました。大切にしていた農地や家畜、家財道具を残したまま避難し、2006年からはバティカロア県での難民キャンプ生活を余儀なくされました。終戦後、多くの土地は解放されましたが、彼の故郷は「高度警戒区域」に指定されていたため、再定住が最近まで認められず、2016年にようやく政府から許可を受け、故郷サンプール村へ帰ることができました。
日本での有機農業研修を終えたカーリス。彼はサンプール村へ戻り、今日もこころやすまる故郷から、PWJのスタッフとして、家族のため、そしてスリランカの未来の酪農業ために晴れやかな笑顔で働いています。
PWJではトリンコマレ州の酪農業組合や地域住民と協力し、引き続き事業を進めております。スリランカの復興、更なる前進のために、引き続きご支援ご協力の程どうぞよろしくお願いいたします。モデルファームの今後につきましても、応援の程よろしくお願いいたします。
※本事業は、外務省・日本NGO連携無償資金協力の支援をいただき実施しています。
現地調整員佐藤
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