大雨洪水被害へ緊急対応中 その2
1月前半にスリランカを襲った大雨による洪水・冠水被害。現地では、「1957年以来の大洪水だ」「2004年の津波以降、すっかり気候が変わってしまったのではないか」「例年なら、1月末には雨季が終わるのに…」と心配する声が絶えません。
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、今回の洪水被害がとりわけ大きかった東部バティカロア県とトリンコマレ県において、緊急の食糧配布と給水事業、そして井戸の緊急除菌洗浄活動を実施しています。
洪水直後は一時的に学校などで避難生活を送っていた方々も、水が引いた後は自宅に戻り、浸水してしまった家屋の修理などの後片付けなど、少しずつ生活の立て直しを始めています。特に、バティカロア県では、多くの家が飲み水・生活用水を家庭用または共同井戸に頼っているため、汚染された井戸を洗って消毒する作業が急務です。
一度浸水してしまった井戸は、近くにあるトイレの地下タンクから汚水が染み出し、泥や海水の塩分が混ざってしまうなど、飲み水としては使えなくなってしまいます。また、このまま放置しておくと、水を媒介とした病気が蔓延する危険性が高いことから、現地政府も、井戸の緊急除菌洗浄を最も緊急性の高い事業に挙げています。
PWJはこうした事態に対応すべく、急遽、井戸作業チームを作り、緊急除菌洗浄作業を開始しました。現地政府とも協力しながら、優先順位の高い井戸(学校や病院などの共同井戸、人口密集地の井戸など)のリストを作成して作業に取り掛かり、事業開始後1週間で、既に600本近い井戸が除菌洗浄されています。
写真:井戸から動力ポンプを使って汚水を汲みだしている様子 (C)PWJ
スリランカでは、25年以上も続いた内戦がようやく2009年に終わったばかりです。今回の洪水は、やっと平和が戻り、新しい生活を始めた矢先のことで、現地の人々にとっては精神的にも大きな打撃となってしまいました。
バティカロア県で今回の洪水被害が大きくなったのは、1月10日前後のことでした。折しも1月14日は、現地の感謝祭(収穫をもたらす太陽の恵みに感謝する日)。通常であれば、特別なお菓子を作って太陽に感謝を捧げ、家族みんなで着飾ってお寺に行くという楽しい日です。それが今年は、一転して大変な日になってしまいました。
PWJの井戸チームが作業をした家の女性からも、
「今年は感謝祭の数日前から雨がひどくて、お祝いどころではなかったわ。水が使えないのには本当に困りました。せっかく内戦中は離れ離れだった息子の家族も帰ってきたのに。」という話を聞きました。
写真:インタビューに答える女性 (C)PWJ
被災地では、まだまだ事業準備中の団体も多い中、PWJはいち早く事業を展開しているため、現地政府やユニセフ、WFPなどの国連機関からも頼りにされています。
現地では現在も雨が降り続き、二次災害の危険性も皆無ではない中、PWJは状況を注視しながら、一刻も早く現地の方々の生活が正常化するよう支援を続けてまいります。
写真:除菌洗浄作業が終わった井戸の前で (C)PWJ
※PWJのスリランカ事業は、皆さまからの寄付・会費のほか、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の協力を得て進めています。