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私たちの活動

【スリランカ】農業支援の活動地域を拡大しました

2024年4月から、北部州ムライティブ県で新たな事業を開始しました。ムライティブ県を含むスリランカ北部州一帯は、ヴァンニ地方と呼ばれ、内戦中、北東部に住むタミル人の独立を目指した武装組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」が統治していました。2009年、26年に亘った内戦は終結しましたが、内戦の終盤、政府軍に支配地を徐々に奪われていったLTTE軍が最後の拠点としていたのがムライティブ県で、末期には民間人を巻き込んだ激しい戦いが繰り広げられました。内戦の影響を強く受けた同地域は復興にも時間がかかり、内陸部は人口密度も低いために物資やサービスへのアクセスが悪いこともあり、現在もスリランカ国内で最も貧しい県のうちの一つです。地域の家庭を訪れると、内戦中に亡くなった、もしくは空襲で負傷した家族が少なくとも1人はいる世帯がほとんどです。ある女性は、内戦末期、家族とともに戦火を逃れて10回以上移動したと語っていました。村々に隣接する林では、今もところどころで地雷除去活動が続いています。
 

ムライティブ県

 
この地域では大都市が近くになく、仕事の選択肢も限られるため、多くの住民は稲作を中心とした農業か、農地を持たない人々は農作業の手伝いや建設などの日雇い労働をして生計を立てています。2022年に起きたスリランカ政府の財政破綻による物価高騰も人々の暮らしに大きな打撃を与えました。
 
このような現状を少しでも改善し、人々の生計を助けるため、2024年4月から荒れてしまった農業用貯水池を修復し、農業用井戸を建設して農業による生産を増やすこと、また、農地を持たない世帯には、養鶏や家庭菜園の資材を配布し、それによって生計の助けになるようにトレーニングを行っています。養鶏、家庭菜園プログラムの対象者は、特に女性が世帯主となっている世帯を優先的に選んでいます。
 

修復が始まった農業用貯水池

 
・農業用貯水池の修復
 
スリランカの乾燥地帯では古くから、雨季に降る雨水を一滴もそのまま海に流さず農業に使えるようにと、大小の貯水池がそれぞれに連結された灌漑の仕組みが発達していました。年月を経て劣化してしまったこれら灌漑用貯水池の堤防、水門、排水路などを修理し、貯水量を上げることで乾季でも耕作が可能な土地の面積を増やすほか、雨季の堤防決壊のリスクを軽減、また、修復工事を地元の農民組合メンバーに委託することで、長期的に村の人々が自らの手で貯水池を管理できるように促します。ピースウィンズはこれまで、東部トリンコマリー県で同じ手法を使って60以上の灌漑用貯水池の修復を行ってきており、その経験から得た知見が活動に生きています。
 

農民組合に工法を指導するスタッフ

 
・養鶏・家庭菜園用資材の配布とトレーニング
 
内陸部に位置する今回の事業地域は、周辺に大きな都市がなく、教育や医療サービスにアクセスするのも大変な地域です。農地を持たない世帯の人々が就く日雇いの仕事は不安定で、多くの場合仕事は毎日なく、週に2~3回のみ、1日約1,500~2,500ルピー(約800~1,400円)の収入を得られるのが一般的で、複数の子供を持つ女性世帯にとってはそれだけで生計を立てていくことは困難です。2022年の財政破綻以降、物価が上がっており、食料品の価格は以前の2倍ほどになりましたが、得られる収入はあまり変わっておらず、人々は食事の内容や回数を減らしたり、ローンを借りたりすることで糊口をしのいでいます。このような世帯を対象に、卵や野菜を自宅で賄うことができるよう、小規模の養鶏、家庭菜園の支援を行います。
 
現在各村の村役場から得た情報を元に村を回って生活状況の聞き取りを行っており、その後、養鶏、家庭菜園のトレーニングを実施して、活動を継続する意思のあるメンバーに、雛、鶏舎や家庭菜園のための種子や苗、資材を配布する予定です。
 

村人の自家製の小型鶏舎。病気の感染を防ぐため、本事業では鶏の数に合わせたサイズと、清潔な環境が保てる鶏舎を提供します

 

養鶏・家庭菜園プログラムについての説明会

 
本事業は、外務省の日本NGO連携無償資金協力による助成ならびにみなさまからの温かいご寄付により実施しております。

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