【スリランカ】北部州と東部州の酪農経験を共有
スリランカの内戦の影響を大きく受けた北部州と東部州でピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が緊急支援を開始してから、5年余りが経ちました。PWJが東部州トリンコマレ県で行っている「農民組合による市場アクセス向上支援事業」は2年目を迎え、現在は事業の一環として、スリランカ国内の他地域からの経験を学ぶ視察研修を実施しています。
今年8月、PWJの事業地の一つで、同県ムトゥール郡で牛乳集荷所兼直売所を運営する酪農協同組合が、北部州キリノッチ県の酪農協同組合(LIBCO)の視察を受け入れ、積極的な情報共有や意見交換を行いました。これを受けて、9月には、ムトゥール郡の酪農協同組合と牛乳集荷所兼直売所のスタッフがキリノッチLIBCOを訪問し、互いの交流を深めました。今回は9月の訪問について詳しくお伝えします。
2015年8月、キリノッチ県の酪農組合との意見交換会を実施
最初に訪れたキリノッチLIBCOの牛乳集荷所兼直売所では、アイスキャンディとヨーグルトの製造に使用される乳成分のかくはん器の紹介から、実際の製造プロセスまでの実演が行われました。その後、生産のノウハウからパッケージングの工夫、運営管理に至るまで、活発な質疑応答が行われました。トリンコマレ県の酪農チームは、実際の成功例を目の当たりにし、中でもアイスキャンディの製造・販売に関して早速、工夫するアイデアを得、自分たちの事業地にもノウハウを持ち帰ったようです。
キリノッチ県の酪農組合によるヨーグルト作りのデモンストレーション
次に訪れた牛乳集荷所兼直売所では、先に訪問した直売所の商品とは異なる風味やパッケージを売りにしており、互いに競合しながら、工夫を重ねていることがよく理解できました。また、キリノッチ県、トリンコマレ県双方の酪農事業者がともに意見を出し合い、コスト試算も検証し、それぞれの事業地での市場の特徴や品質管理の課題などを、以前よりもはっきりと認識することができたようです。
視察先では帳簿の付け方も参考に
キリノッチ県からの帰路、トリンコマレ県の酪農チームは、今回の訪問で明らかになった自分たちの強みと弱みを活発に話し合い、分析していました。そして次の日、ムトゥール郡の牛乳集荷所兼直売所では、新たな商品化に向けてさっそくアイスキャンディの試作品が作られていました!「地元でとれるマンゴーや、人気のあるチョコレートの風味を加えてみたけど、どれがよく売れるかな?」と、顧客の反応をとても楽しみにしていました。
ムトゥール郡で早速試作されたアイスキャンディ
本事業では、トリンコマレ県の酪農チームがさらにマーケティング、製造、販売能力を向上させることができるよう、また組合運営を強化し、地域の活性化により積極的に貢献できるよう、これからも支援を続けていきます。
*本事業は、外務省「NGO連携無償資金協力事業」による資金や寄付金などにより実施しています。