【シリア】国内避難民に食糧・給水支援を実施しています
シリア危機から7年が経ちました。国連の報告書によれば、国内で支援を必要としている「国内避難民」はいまだ1,350万人にのぼり、うち半数に近い600万人は18歳以下の子どもと推計されています。長引く紛争のせいで幾度も避難を強いられ、いったんは故郷に戻れても、再び避難を余儀なくされる人も少なくありません。経済は破綻しつつあり、8割が貧困状態に陥っている、とされています。そこに物価の高騰が重なり、市民たちは食事の回数や量を減らすなどして生活を切り詰めながら、飢えをしのいでいます。また電気や水道などインフラ設備は戦闘で壊され、安全な水へのアクセスも断たれています。
こうした中、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は現地提携団体と協力し、過酷な生活を送る国内避難民たちに向けた食糧キットの配布や、給水車で各家庭を巡回する支援などを行っています。
【写真説明】配布した食糧キット。地元経済に貢献できるようにシリア国内で調達しています。
夏のある日、食糧を運ぶトラックが到着すると、国内避難民の子どもたちが笑顔で駆け寄ってきました。普段、外部からやってくるトラックといえば道路を掃除するごみ収集車くらいですが、子どもたちは手伝いをしてわずかでも収入を得ようと、同様に集まるそうです。食糧キットを受け取りに来たヌールさん(仮名)は、5人の子と病気を抱える夫と小さなテントで暮らしています。職がないため、子どもたちと毎日ごみの中からプラスチックの袋やナイロン製のロープを探し出し、それを売って生活の足しにしているといいます。
「いくら長時間働いても収入はわずかです。一番下の息子は心臓に病気を抱えており、薬を買うお金を貯めなくてはいけません。戦闘から逃れるまでは、農業を営み、住み心地の良い家で住んでいました。幸せな暮らしだったのに・・・」。
そんなヌールさんも食糧キットを受け取ると、少しだけ顔がほころびました。
「油や米、砂糖など、今は買うことができないものもあって、とても助かります。これまでずっと、パンと野菜だけの生活でした。子どもたちは、長い間食べることのできなかったチーズを食べることができて、とても喜んでいます。食費も節約できるので、その分、息子の薬代に充てることができます」。
【写真説明】配布された食糧キットを持ち帰る避難民の女性
配布した現地提携団体のスタッフは、「日常生活に必要なあらゆるものやサービスが足りていません。国内避難民たちの要望にもっと応えられるよう、支援を続けていきたい」と話しています。
【写真説明】食糧キット配布の様子。赤ちゃんを背負って物資を受け取りに来た女性も
シリアは過酷な冬の季節を迎えています。食糧や安全な水、衣服や医薬品などがあらゆるものが不足する中で、厳しい寒さを乗り越えなければなりません。PWJは引き続き、シリア国内での支援に取り組んでいきます。
本事業は、みなさまからのご寄付のほか、ジャパンプラットフォームからの助成金により、実施しています。シリア国内で、一人でも多くの人に支援を届けることができるよう、温かいご支援を宜しくお願いいたします。
*シリアの現地情勢を考慮し、関係者たちに危険や不利益が及ばないよう、氏名や活動地域などは伏せています。