【シリア】住居の修繕と子ども用の冬服配布支援を完了
シリアでは戦闘の鎮静化に伴い、いくつかの地域では、人々が避難していた場所から故郷へ戻り始めています。しかし、かつて暮らしていた家が激しい戦闘によって損壊していることも少なくありません。避難生活が長かった人ほど経済的に困窮し、食料や最低限の生活必需品を手に入れるだけでやっとという状況で、家を修繕する余裕はありません。また、そのような家庭からは、特に「子どもの服が必要だけど買うことができない」との声があがっていると国連の調査で報告されました。そこでPWJでは、シリア国内の提携団体と共に、2020年3月から2021年3月にかけて、住居の修繕と子ども用の冬服配布を行いました。
住居修繕支援
シリアでは集合住宅が一般的です。本事業では、建物全体ではなく、各世帯の所有スペースの修繕を支援します。支援を必要とする人はたくさんいますが、残念ながらすべての要請には応えられないため、女性世帯主、また傷病者・高齢者・障害者のいる家庭などを優先して支援する世帯を選びました。
実際の修繕工事の様子です。壁や窓、天井などを修繕し、水道や電気系統を整備して、安全な住環境に整えていきます。
修繕前と後の一例
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工事が終わり、人々が修繕した住居に住み始めて1ヵ月後をめどに、住み心地などを聞き取りました。2012年から妻と4人の子どもとともに複数回の避難を余儀なくされたイルファンさん(仮名)は、2019年に故郷の自宅に戻ってきました。しかし、家の窓はなくなっていて、寒い冬の間も大きな穴を布で覆って耐えていたそうです。修繕された家での生活を尋ねると、「家の中が暖かく、安心して生活できるようになった」と話してくれました。
冬服配布支援
女性世帯主の家庭、障害者のいる家庭、また世帯人数が多い家庭などの、5歳から17歳の子どもを対象に、セーターやジャケット、下着などの冬服キットを配布しました。
コロナ禍での配布となったため、配付場所が混雑しないよう受け取る時間帯を複数にわけて設定し、会場では検温や消毒を徹底して配布しました。
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配布後の聞き取りで、3人の娘と1人の息子の母親であるアイザさん(仮名)は、「子どもたちは新しい服をとても喜んでいる」と笑顔で話してくれました。その他にも、子ども服を買わずにすんだことで他に必要なものを買うことができたと話してくださった方もいて、切実な状況が伝わってくるようでした。
新型コロナウイルス感染拡大は、その前から国の経済が悪化していたシリアの人々の生活をますます厳しくしています。PWJは提携団体と共に、引き続きシリアでの活動を続けてまいります。
※本事業は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成を受け、実施しました。
※シリアの現地情勢を考慮し、関係者に危険や不利益が及ばないよう、活動地域の詳細は伏せ、写真の一部を加工し、また人名は仮名を使用しています。