【東ティモール】ディリ水害緊急支援ルポ
2020年3月13日、東ティモールの首都ディリでは夕方から激しい雨が続き、市内を流れる複数の川が氾濫したことから洪水が発生しました。市内の冠水に加えて、山に降った雨が一気に川に流れ込み、山から運んできた木や土砂が市内の至る道路で堆積し、通行不能となった車が道路や交差点で立ち往生する等、市内は大混乱。山を背にして海に面するディリ市内は、ほぼ低地であることから沿岸地を中心に多くの家屋が浸水し、想像を超えるスピードで家や家財道具が流されるなど、被害が拡大しました。
ピースウィンズ・ジャパンは翌朝早くから、特に水害被害の多かったクルフン、ベコラ、ナインフェト地区450世帯に対してニーズ調査を開始しました。そのニーズ調査で被災後、一切食事を取っていない被災者が多いことがわかり、同日中にパンや水の食料配布を開始しました。
翌日は家財道具を流されてしまったマウフェロ川流域のタイベシ地区、ラオライとベクシクライクの特に被害の大きかった70世帯600人の住民に対し、約2800食分の食料を配布。氾濫した川から汚水によって運ばれた汚泥を住居から掻きだすためのスコップやバケツ、手を殺菌消毒するためのウェットティッシュなど物資の配布を行いました。
死者も出たベクシクライク地区で被災したジダニオさん(23歳男性)に当日の状況を伺ったところ、「今回の様な災害は過去に経験がないしとても怖かった。家財のほとんどを流されてしまったので、この先どうして暮らしていったらいいのかわからない」と途方に暮れた様子でした。また、ジュエラさん(35歳女性)は、「子どもたちが夜になったり雨が降ってくると、また洪水がくるんじゃないかと怖がるようになってしまったので心配している」とのことでした。
「PWJは困っている私たちに、とても早く食料や物資を素早く届けてくれて助かった。本当にありがとう」と皆さんに言っていきただきましたが、「まだ他にもたくさん困っている人がいる」とも。迅速に支援活動を初めて良かったけどこれで終わりではない、もっと支援を必要としている人がいるという事も改めて認識しました。
ただ、そのような厳しい状況にありながらも、家族や親戚総出で、時折笑顔も見せながら、バケツリレーで近隣の住居の泥を掻き出したり、散乱した家財の片づけをしている姿が強く印象に残りました。
PWJは1999年に東ティモールで緊急医療支援と住居の復旧・建設事業の支援を開始し、2003年からは復興開発支援として、コーヒー生産者の収入向上と自立支援、近年では輸出や国内外販路拡大、カフェでは技術移転、雇用創出などの産業支援を行っています。緊急支援を久しくやっていなかったうえに、災害支援は初めてという状況の中行った今回の支援は、普段はコーヒーの輸出業務やPWJがディリ市内で運営するカフェでバリスタとしてコーヒーを提供するスタッフが中心となりました。普段自分たちがやっていることは違うけど、他の国でたくさん緊急支援をやっているPWJの事務所がある東ティモールで起こった災害で、私たちも何か行動したい!助けたい!と声を発し、気持ちを一つにして活躍するスタッフが育ったということ自体も、PWJが東ティモールで長年続けてきた支援の一つの成果のように感じました。また自らの住居も浸水し、被災者であるにも関わらず、自分の事は後回しにしていち早く緊急支援の要請を行い、支援を実行した現地代表に心を打たれました。
政府が現在把握しているだけでも被災者は12,000人を越えており、継続的な支援が必要です。PWJでは物資配布などを行いながら、どのような支援が一番効果が高いかを調査をしながら、東ティモール復興開発支援を継続する予定です。
この支援は皆さまからの温かいご寄付で実施しております。いつもご支援ありがとうございます。
東ティモール事務所
プロジェクトコーディネーター
弓田淳也
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