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気候変動と災害

気候変動と災害#01|気候変動とは?原因と影響、世界で起きている自然災害を解説

広報:ピースウィンズ国際人道支援 ジャーナル編集部

現在、世界中で豪雨や洪水、熱波や干ばつ、森林火災などの自然災害が頻発し、人びとの生活環境や生態系を脅かす深刻な問題となっています。こうした自然災害は、気候変動がもたらす地球温暖化が深く影響していることが指摘され、ピースウィンズが支援する被災地の多くも、この気候変動の影響を深く受けています。なぜ気候変動は起きているのか?そもそも気候変動とはなにか?この記事では、あらためて気候変動と自然災害の関係性について解説します。

気候変動の概要とその影響

気候変動には自然要因もありますが、近年の急激な変化は人間の活動が主な原因とされています。はじめに気候変動の概要と現状についてみていきましょう。

気候変動とは?

「気候変動」とは、地球の気温や天気のパターンが長期間にわたって変わる現象を意味します。太陽の変化や火山の噴火など自然の影響でも起こりますが、1800年代後半以降の温暖化は、人間の活動による「温室効果ガス」の増加が主な原因とされています。

出典:地球環境研究センター|ココが知りたい地球温暖化(JCCCA WEBサイトより)

現在、地球の平均気温は産業革命前より約1.1℃上昇しており、これは過去10万年間で最も高い水準です。特に2011〜2020年は観測史上最も暑い10年となり、異常気象が世界中で急増しました(*1)。

出典:IPCC第6次評価報告書(JCCCA WEBサイトより)

気候変動の原因 

なぜ、このような急激な気候変動が起きているのでしょうか?その主な原因は、温室効果ガス(CO₂、メタン、窒素酸化物など)の増加といわれています。特に、世界の温室効果ガスの75%以上は化石燃料の燃焼によるもので、その主な排出源は以下になります(*2)。

●発電:石炭や石油、天然ガスを燃やすと大量のCO₂が発生
●工業・製造:セメントや鉄、プラスチックなどを作る過程で温室効果ガスが排出
●輸送:車や飛行機、船の燃料の燃焼が大きな原因
●森林伐採:樹木はCO₂を吸収するが、伐採によりその能力が低下
●農業:家畜のゲップや水田からメタン、肥料から亜酸化窒素が発生

このように、人間の生産活動にともない排出されたものが必要以上の温室効果ガスを生み出し、気候変動を加速させる原因にもなっているのです。

気候変動の主な影響

気候変動は自然災害をはじめ、以下のように地球や社会に深刻な影響を与えます。

●気温上昇と異常気象:熱波、台風、洪水、干ばつ、山火事が増加
●海面上昇:極地の氷が溶け、沿岸地域の浸水や小さな島国の水没が懸念
●生態系の変化:動植物の絶滅、農作物の減少、病気の拡大
●社会的影響:食料・水不足、移住者の増加、経済的損失の拡大

国連は気温上昇を1.5℃以内に抑えることが必要としていますが、現在のままでは今世紀末までに3℃上昇すると予想されています(*3)。これを防ぐには、排出の多い国が積極的に対策を進め、同時に私たち一人ひとりができることを考えることが求められています。

出典:IPCC第6次評価報告書(JCCCA WEBサイトより)

気候変動が世界にもたらす自然災害の種類

気候変動は、地球環境や人々の生活に大きな影響を与えています。特に異常気象による自然災害が深刻化している状況です。ここでは、それぞれの地域で起きている災害とその影響についてみていきましょう。

出典:IPCC第5次評価報告書(JCCCA WEBサイトより)

猛烈な大雨

気温上昇にともなって降水量が増加し、世界各地で洪水や暴風雨が都市部や低地を襲い甚大な被害を引き起こしています。

2022年にはアジアで46件の洪水が発生し、5,000万人以上が影響を受けました(*4)。2024年には東アフリカ北部から西アフリカで大雨により2,900人以上が死亡(*5)。さらに、スペイン東部では10月の大雨で230人以上が犠牲となるなど、豪雨による被害は世界各地で深刻化しています(*5)。

日本でも2024年9月に、1月の令和6年能登半島地震の震災から復旧半ばの奥能登地方に記録的な豪雨が降り、大きな被害をもたらしました。

2024年4月、3月から続く大雨による影響で東アフリカのケニアでダムが決壊し、大規模な洪水が発生。東アフリカ地域一帯で深刻な被害が発生した

熱波

熱波とは、異常に高い気温が長い期間続く現象で、地球温暖化にともなう熱波の発生頻度と強度が増しています。特にヨーロッパでは、2022年に観測された災害のうち13%が熱波によるもので、1万6,000人以上の死者を出しました(*6)。また熱波は、水不足や農作物の不作を招き、健康リスクを高める要因となっています。

台風と熱帯低気圧

気候変動による海面温度の上昇により、台風やハリケーン、サイクロンの発生がより大きな勢力をともなって頻発化。特に沿岸地域では甚大な被害が発生し、被災状況が深刻化しています。

2024年には中国南部から東南アジアで台風や大雨により1,240人以上が死亡(*7)。また、アフリカ・モザンビークではサイクロンによる洪水、インフラ崩壊、コレラの蔓延などが広がり、被災したエリアには栄養不良が蔓延するなど大きな影響を受けています。

2024年12月、大型の熱帯低気圧サイクロン“チド”がアフリカのモザンビーク北部を襲い、およそ45万3,000人にもおよぶ人が被災した

山火事・森林火災 

気候変動による高温と乾燥の進行は、森林火災のリスクを大幅に増加させています。特にオーストラリアやアメリカ西部では大規模な火災が頻発。2019〜2020年に発生したオーストラリアの火災では、CO2放出量が過去の年平均の2.8倍に達し、気候変動を加速させる悪循環が生まれました(*8)。

最近では、2025年1月7日にロサンゼルス郊外において大規模な山火事が発生。鎮圧に25日も要し、死者29人、行方不明者14人(2025年2月1日現在)という重大な被害が報告されています。

2023年8月、ハワイ・マウイ島で発生した山火事は4日間にわたり燃え続け、102名が死亡、2200棟以上の建物が損壊する被害をもたらした

干ばつ

降水量の減少と気温の上昇により、干ばつが深刻化しています。アフリカでは2022年の異常気象による災害の17%が干ばつ関連であり、死者の48%が干ばつによる影響を受けたと報告されています(*9)。水不足は、農業生産を低下させ、食糧危機や社会不安を引き起こす要因となります。

「気候変動・自然災害」に対するピースウィンズの取り組み

気候変動がもたらすこれらの自然災害は、各地で人びとの生活や安全を脅かしています。こうした頻発する被害をみると、今後の気候変動への対策が世界規模での被害軽減に不可欠であることがわかります。

また、気温上昇と気候変動が人間の活動に原因があるとすれば、その影響によって起きた人道危機への対応は、私たち全員の責任であるといえます。だからこそピースウィンズは、世界各地で気候変動の影響を受けた人道危機を自分ごととして、さまざまな支援をおこなっています。国内だけでなく、世界のどこかで大規模災害が起きた際には調査や緊急支援を行うとともに、災害に強い地域づくりのための伴走を続けます。みなさまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。

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【参照】
*1)国際連合広報センター|気候変動とは何か?
*2)国際連合広報センター|気候変動の原因
*3)国際連合広報センター|気候変動とは何か?
*4)朝日新聞|気候変動が与える影響|現状や世界・日本への影響を具体例付きで解説
*5)気象庁|世界の年ごとの異常気象
*6)朝日新聞|気候変動が与える影響|現状や世界・日本への影響を具体例付きで解説
*7)気象庁|世界の年ごとの異常気象
*8)国立環境研究所|2019~2020年のオーストラリアの森林火災は過去20年で同国において最も多くの火災起源の二酸化炭素を放出した
*9)World Meteorological Organization (WMO)|State of the Climate in Africa 2022

WRITER
広報:ピースウィンズ国際人道支援 ジャーナル編集部
国際支援や世界情勢に関わる情報をお伝えしています。本当に困っている人たちに、本当に必要な支援を届けるために、私たちにできることを一緒に考えるきっかけになればと思います。
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