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私たちの活動

【ネパール】大地震から3年 復興はまだ道半ば

peace winds JAPAN ピースウィンズ・ジャパン


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ネパールでは、2015年4月の大地震から4度目の雨季を迎えようとしています。
ピースウィンズ・ジャパンでは、震災直後からシンドゥパルチョーク郡を中心に、活動を行っています。
幹線道路からさらに山奥に入った急斜面ばかりの山間集落です。
その地域は特に甚大な被害を受けており、全家屋の90%以上にあたる約6.4万戸が全壊、死者数は全国で最も多く、3500人以上に上りました。
震災直後から現在までは、仮設資材(トタン板)の配布や、地元大工への耐震技術研修提供、地震で破損した給水タンクやパイプの修復・修繕を行ってきました。
震災より3年が経過した最近になりやっと、復興の兆しが見えてきたところです。
農村でも、忙しく家の再建工事を行う人々の姿が見られるようになりました。

  • aftereq 震災直後の村の様子
  • townnow 現在の村の様子
  • 大工のバラさん
    大工のバラ・ラム・スンダシュさん
  • 昨年の耐震技術研修に参加したバラ・ラム・スンダシュさんは、大工として働きながら、自らの家も再建しました。
    「石の積み方や、鉄筋の使い方など、多くのことを学べました。研修が終わってから今日までに、35軒の建設に携わりました。
    昔から大工の仕事をしてきましたが、新しく学ぶことは楽しく、歌も作りましたよ。」と、新しく身に着けた技術に自信を持って、仕事に取り組んでいる姿が印象的でした。

しかし、復興はまだ道半ばです。
現在、雇用、収入の安定(生計向上)が求められています。
というのも、ネパールの地震での主な被害は、家屋や給水施設などの建物倒壊であり、その再建には補助金だけでは十分ではありません。現金収入を求めて、ますます海外への出稼ぎが増え、ネパールの農村の過疎化・空洞化が進むことが懸念されます。
そうなると農村に残るのは、女性です。
そこで当団体は、農村で暮らす女性の生活改善につながることが、ネパールでの復興を支えることだとの考えから、長期的に腰をすえて特に、水、農業、伝統工芸の3つの側面からアプローチし、今後も活動を継続したいと考えてます。

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1つめの水へのアクセスの課題は、震災後、特に深刻です。
地震によるパイプやタンクの破損、地盤変化による水源枯渇のため、山道を1時間以上かけて水くみに行かなければならないところが多くあります。
交代制で利用を制限しているところもありました。

  • aftereq水を運ぶ女性
  • townnow水を運ぶ女性
  • サビタさんインタビュー
    地震後の様子を話すサビタ・バスネットさん
  • 当団体は現在までに約1300世帯に対して、38ヶ所の給水復旧支援を行いました。
    その経験を活かして、同様の課題を抱える地域の約280世帯に対して、水へのアクセス改善に取り組んでいます。
    「地震の後、パイプが破損して水が来なくなりました。いったん自分たちで修理しましたが、何度か破損して、約4キロあるパイプのどこでもれているのか調べたり、水源まで行ったりと、かなり時間がかかりました。」
    サビタ・バスネットさんの住むこの村では、当団体エンジニア監督の下、排水パイプをしっかりと地中に埋める工事が完了し、水が届けられています。
    今後、取水口、貯水槽、公衆水栓を建設することで、安定的な供給を計画しています。

水汲みは、女性や子どもの仕事とされています。
飲み水、洗濯、入浴、炊事、トイレといった毎日の生活だけではなく、農作物栽培や、家畜の飲み水も必要です。
水くみの時間が減れば、女性はもっと農作業に取り組めたり、子どもも勉強する時間がより多く取れたり、学校に遅刻したりせずにすみます。
小さな変化が、大きな生活改善につながるのです。

  • aftereq貯水槽建築の様子
  • townnow公衆水栓で水汲みをする女性

2つめに、農業です。
被災地シンドゥパルチョーク郡の主な産業は、農業ですが、自給自足の「食べるための農業」が主です。
現在は、お米、ヒエ、アワ、トウモロコシなどの穀物が中心で、野菜は家庭菜園程度の栽培となっています。
しかし野菜は市場で高く売買されます。
そこで当団体では、野菜の栽培技術の研修を行い、生産量を上げ、販売に関する研修も実施し、生計の向上を図る支援も開始しました。
研修では、農業を行う女性グループが多く見かけられます。
家事や子育てで忙しいかたわら、元気に農作業に取り組むお母さんたち。
やる気が高く、予定していた農業資材では足りないほどです。

  • aftereq農業研修 トマトの種まきの様子
  • townnow
  • サビタさんインタビュー
    伝統工芸の機織り
  • 最後に、伝統工芸です。
    少数民族の女性は、厳しい山間部での生活からより機会を求めて、カトマンズ近郊に移住してきましたが、そこで被災しました。
    伝統工芸のダカ織りを自宅で営んでいた女性たちは、震災後に機織りの音を近所から嫌がられたために、仕事ができないでいました。
    当団体は2016年4月に作業場を建設し、ダカ織り技術向上研修も提供してきました。 しかしながら、より付加価値をつけて販売するためには、売る場所が必要です。 女性たちからは、世界遺産のバクタプール広場で、ショップを開店したいとの要望を受けています。


どの事業も、十分な資金があるわけではありません。
復興の建設ラッシュによる給水資材の高騰、商業的農業を始めるためのビニールハウスや種などの農業資材ニーズの高さ、伝統工芸商品を販売するための店舗運営資金不足など、当団体も課題を抱えています。
しかしながら、やっと始まったこの復興の流れを支えるため、
継続的に活動を行いたいと強く決意しています。
幾度の震災から復興をとげてきた私たちは、復興への道のりには時間がかかること、そして自立への道のりは厳しいながらも不可能ではないことを、身をもってご存知の方も多いはずです。
ネパールの復興は3年目の今、やっとはじまったばかりです。
なにげない毎日の生活が良くなることが、復興につながります。
継続的なご支援、ご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。

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