【ハイチ】8月14日ハイチ大地震 1カ月間の活動報告
地震発生から1カ月
8月14日に、ハイチ南西部で破壊的な地震が発生してから1か月が経ちました。マグニチュード7.2の地震により、家屋、学校、病院等が倒壊し、少なくとも2,248人が死亡し、12,763人が負傷、329人が行方不明となりました。地震による被災者の数は690,000人を超えることが調査で明らかになっています。また、この地震以来、これまでに900回以上の余震が発生しており、震度3以上の揺れも確認されています。特に影響を受けた震源地周辺の農村地域では、家屋や様々なインフラ、生計等は大きな影響を受けており、現在もまだ支援物資が届いていない地域があります。これまでに確認された被災家屋は全壊53,815棟、半壊83,770棟と言われており、破損のある家の中に住み続ける人や、家屋が全壊になり家の破片を組み合わせ小さな小屋を作って屋根のあるところで何とか暮らしている人、それも難しく野外で暮らしている人々も多々います。
地震発生当日から被災状況の調査を開始
ピースウィンズ・ジャパン(以下、PWJ)は、地震発生時も被害が深刻な南県レカイ市周辺で事業を実施しており、発災当日から被災状況の調査を開始しました。また、ジャパンプラットフォーム(以下、JPF)からの助成を受けた調査は、8/18より開始し、現地の状況と必要とされる支援に関して調査を行いました。
PWJが事業を実施しているレカイ市周辺の被害は深刻なものでした。死者1,852人、負傷者9,158人、行方不明者300人、家屋全壊30,717棟、半壊42,889棟と報告されています。同じく破壊的な被害をもたらしたハリケーンマッシュ―の発生から5年も経たないうちに、今回の地震が発生し、病院や保健センター、学校、公共及び民間の建物、橋、発電所等が破壊されました。特にレカイ市とレカイ市に次いで被害を受けているジェレミー市を繋ぐ国道7号線が寸断され、地震後に発生したトロピカルストームの影響でその付近にある川が氾濫、通行が困難な状態で車両も通過できなくなっています。飲み水への影響も複数地域で確認されており、蛇口の水が濁ったり、貯水池が壊れたりし、水へのアクセスが非常に困難な状況です。また171校もの学校が倒壊・破損し、10月からの学校開始にも影響がでていることも確認されました。
こうした被災規模の調査に加え、PWJは住民を1軒1軒直接訪ね、一般の人々が地震発生後どのような生活を行っているか、どのような支援が求められているか、聞き取りを行いました。
①:震源地近くの、カンプ・ペラン地域に住むWilmaneさん。彼女は地震発生時、家の外にいて朝食の用意をしていましたが、Wilmaneさんの家族は家の中にいて、大きな悲鳴を聞き、後ろを振り返ったら家が崩れていたそうです。とても衝撃的な瞬間だったと話してくれました。
②:Wilmaneさん一家は、家が崩壊した後もこの家に住み続けています。Wilmaneさんの子どもは地震発生時、家の中におり、負傷したため今も治療中とのことです。
③:地震発生時、Salexさんはレカイ市内にいました。帰宅すると、家が全壊していて言葉もでなかったそうです。息子さんが崩壊した家の一部を使って小屋を建て、屋根のある生活はできていますが、隣町に2時間歩いて水を調達しに行かなければならず、高齢のSalexさんには大変な労力となっています。
④:Salexさんの息子さんが崩壊した家の一部を再利用して建てた小さな小屋。
⑤⑥:同じく震源地に近いカンプ・ペラン地域に住むこの女性は、家が崩壊した時に負傷しました。崩壊した家の一部を再利用して何とか小屋を建てましたが、狭いので野外でも生活せざるを得ません。
上記のように崩壊した家の一部を再利用して何とか小屋を建て生活できる場合もありますが、それが難しい被災者の多くが今も野外で生活している状態です。雨が降っても路上で眠らざるを得ません。このような状況に、水タンクが壊れるなどして安全な水へのアクセスが制限され、衛生状態が悪化し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行も重なり、感染症のリスクが非常に高まっています。シェルター、生活物資、飲料水、衛生設備等の緊急支援が必要とされています。
また、日々の被災状況の聞き取り調査を行っているPWJスタッフのマッケンソンをはじめとするスタッフも、被災者の一人です。スタッフ自身も、家族を失ったり、家が倒壊したりと支援が必要であるにも関わらず、毎日調査を実施してくれました。彼の地元である、トーベック地域も大きな被害を受けたと言います。8月のある日、彼の自宅近くに住む女性に聞き取り調査をしたところ、彼女は瓦礫の下で無意識になり倒れていたところ、地域の人々が何とか彼女の命を救ったそうです。彼は、日々調査を行う中で「地元の住民たちは本当に傷ついていて、希望を失ったかのような顔をしている」と話します。(⑦の写真)
⑦
緊急物資配布支援を実施
PWJはJPFからの助成による緊急初動調査中に、支援物資が行き届いていないトーベック地域で、地震により負傷または障害を持つことになった方を主な対象に、200世帯分の生活物資の配布を行いました。緊急物資キットは、ターポリン(ブルーシート)、ロープ、ブランケット、衛生用品(石鹸、洗濯石鹸、トイレットペーパー、歯ブラシ、歯磨き粉、生理用品、マスク、消毒液)、ミルク、スパゲッティー、ビスケットです。緊急物資の袋詰め作業には、被災者でもあるボランティアの女性達が協力してくれました。物資配布当日も、住民へ配布するお手伝いをしてくれました。
⑧:緊急配布キット
⑨:ボランティアの女性らとPWJスタッフ
⑩:8月31日の緊急支援物資配布の様子。事前手配したクーポンと引き換えに物資を配布する様子。
⑪:物資を受け取る住民
今後の活動
今回の地震は、被災規模も広域にわたり、支援もまだまだ足りていない状況です。PWJは、一刻も早い復旧・復興のため、継続して緊急支援を実施していく予定です。ハイチの人々が再び希望を持つことができるよう、引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い致します。
※本活動は、ジャパン・プラットフォームからの助成金や個人・法人のみなさまによる寄付金により実施しています。
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