「耐震技術ガイドブック」が完成
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)がイラン住宅公社と協力して作成していた「耐震技術ガイドブック(英語名:Earthquake Safer Design for People)」が完成しました。PWJでは100部を住宅公社に寄贈したほか、テヘランやケルマンの国立図書館にも納本。多くの人たちが耐震技術を学ぶための教材にしてもらいたいと考えています。
このガイドブックは、2003年12月26日に発生したバム地震後のPWJの耐震技術普及の取り組みをまとめたものです。2004年5月16日に開催した「耐震技術ワークショップ」での講演の内容、国際地震工学会(IAEE)が編集した耐震建築のガイドライン、イランの建築基準などを参考に編集されています。バムの気候風土、文化、普及のしやすさなどを考慮し、「組積造」と呼ばれるバム周辺地域で伝統的に使用されているレンガを積み上げる工法を耐震化するための技術などを紹介しています。脆弱性が原因で40,000名以上もの人が亡くなったとされるバム地震後、耐震技術のガイドラインに関する初の出版物になります。
写真左:ガイドブックが納められたテヘラン国立図書館
写真右:完成した「耐震技術ガイドブック」
(C)Peace Winds Japan
PWJでは、ガイドブック100部を協力してくれたイラン住宅公社に贈呈。住宅公社のハバイ副総裁は、ガイドブックが今後の耐震技術普及に与える効果を認め、より多くの人がガイドブックを見る機会が増えるようにしようとその場で提案。2005年2月に完成したばかりのテヘラン国立図書館へ納めることを決定してくれました。
また、地震の発生したバム、さらに2005年2月に地震が発生しPWJが緊急支援活動を行ったザランドのあるケルマン州では将来の地震の被害に対して多くの人びとが危惧していると聞きます。そこで、できるだけ多くの人びとがPWJの耐震技術にふれる機会を増やすため、ケルマン国立図書館、ケルマン大学図書館にもガイドブックを寄贈しました。
住宅公社ハバイ副総裁にガイドブックを渡すPWJスタッフ
(C)Peace Winds Japan
この耐震技術ガイドブック出版をきっかけに、バム地域をはじめとするイランの技術者や建築関係者、政府関係者、住民らが今まで以上に、地元の気候風土や文化などを考慮した耐震技術に感心を持ち、将来、バムをはじめ様々な地域が地震に強く、安心して暮らせる地域になっていくことを望みます。PWJでも、今後実施する耐震技術トレーニングなどで、このガイドブックを活用していきます。