【トルコ・シリア地震】「医師のいなくなった村」での診療を開始
■タニシュマ村で医療支援
2月25日からはこれまで青空の下で行ってきた医療相談も、ついにタープが立ち診療を開始することができました。
当初はすでに大型のテントが完成する予定でしたが、予定通りに進まない状況を前に、調整員の矢加部は「(第一陣でリーダーを担った)坂田医師から『1日後のことは考えない』と教わった」と冷静でした。
この日でトルコでの活動が最終日となる長嶋医師は「毎日、患者数が増えている。最初は徒歩圏内の患者が多かったが車で訪れる人も多くなった。とにかく医者の数が足りないので、ぜひ医療資格を持つ方々は空飛ぶ捜索医療団のロスター隊員に登録して手を上げていただけると、住民の方々の力になれる」と語りました。
同じく最終日を迎えるロスター隊員の岡本看護師は「最初は町中がスクラップ工場のようで言葉が出ませんでした。私はレスキューはできないけれど、声を掛けることはできる。日本語の『お気の毒です』にあたる『Geçmiş olsun』の一言でも、せめて現地の言葉で伝えられるようにしました」と、地震で傷ついたトルコの人々への想いを語りました。
この後もピースウィンズの所属医師やロスター隊員などが入れ替わりで現地に入り、医療支援を続けていきます。
■子どもたちの“心を癒す”メルさんのプレイルーム
多くの患者さんが訪れる診療テントの入口横に、子どもたちが集まっているスペースがあります。
私たちの活動を支えてくれている通訳のメルさんは、もともと幼稚園の園長さん。トルコ北部に住む彼女は、南東部での地震が起きてから職場を任せてすぐに支援に入りました。
メルさんが被災地支援に入ることを知った幼稚園の先生たちや友人は、「ぜひ被災した子どもたちに!」とおもちゃや机・椅子・滑り台などを届けてくれました。
診療には、体調を崩した子どもたちが親御さんに連れられてたくさんやってきます。そんな不安そうな子どもたちを少しでも笑顔にできたらと、メルさんの発案で、診療テント入口横のスペースをプレイルームにすることにしました。
お絵描き用紙やクレヨンを見つけた子どもたちは、それぞれ好きな色を使ってキャラクターを描いたり、自分の家族を描いたりして見せあいっこして遊んでいます。今では診療開始から終了の時間まで、絶えず子どもたちが遊びにくるようになりました。
メルさんは「このテントの白い壁が見えないくらい(子どもたちが避難所や仮設診療所であることを忘れるくらい)に、絵でいっぱいにしたいんです!」と語りました。
メルさんの幼稚園の先生方から寄せられたおもちゃは他にもいろいろ届いており、ゆくゆくはもう少し広いスペースで、村の子どもたちが安心して遊びに集まれる、不安を忘れられるような場所を作りたいと語っていました。
このような活動ができるのも、私たちの活動を支えてくださる皆さまのお力添えがあってこそです。
引き続き、あたたかいご支援をお願いいたします。