【南スーダン】スーダン難民の衛生環境を改善!
2023年4月スーダン共和国(以下、スーダン)での騒乱勃発以降、南スーダン共和国(以下、南スーダン)に逃れてきたスーダン難民の人びとが身を寄せる場所の一つが、中央エクアトリア州ジュバ郡にあるゴロム難民居住地区です。2023年7月から、ピースウィンズ・ジャパン(以下、ピースウィンズ)は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からの資金を受けて、同難民居住地区にて、給水衛生支援を行ってきました。2024年も、増え続けるスーダン難民の人びとが安全で尊厳のある生活を送ることができるよう、ピースウィンズはUNHCRとともに給水衛生支援を継続しています。
■健康と衛生環境
今回の事業の柱は、衛生環境の整備です。衛生的な生活環境を確保することは、病気の蔓延を防ぎ、人びとが健康的に暮らしていくための重要な条件です。
難民居住地区内では、適切なごみ処理が行われていないため、ごみがいたるところに捨てられており、異臭や虫の発生につながっています。定期的なごみ処理の導入に加えて、人びとに対し、ごみを適切に処理する意識を持つよう働きかけることが必要です。
また、トイレ環境も課題のひとつです。こうした難民居住地区では、ピットと呼ばれる穴を掘ったトイレが一般的ですが、定期的に汲み取りがされなければ、ピットが排せつ物で満杯になった後は使用することができず、異臭の発生を招くほか、雨期には雨で排せつ物が溢れることにより感染症が蔓延する可能性も高まります。そのため、定期的な汲み取りだけでなく、すでにピットが満杯になったトイレについては適切な方法に沿って取り壊し、消毒を行う必要があります。
さらに、現地では屋外で排泄する人も少なくありません。これは感染症の蔓延リスクだけでなく、特に女性や子どもたちにとってはジェンダーに基づく暴力に遭うリスクもあります。これに対応するため、ピースウィンズは2023年にゴロム難民居住地区の小学校やコミュニティにトイレを建設しましたが、未だにその数は足りていません。また、トイレを使用することへの意識の低さも、屋外排泄の要因の一つとなっています。このため、トイレ建設だけでなく、先に挙げたごみ処理のように、人びとの衛生行動の意識に変化をもたらす支援が求められています。
■衛生活動を開始!
前述したように、衛生環境の改善には「環境そのものを整備すること」、そして「人びと個人の意識の変化」が鍵となります。2024年1月、ピースウィンズは、コミュニティ衛生栄養ワーカーというグループを編成して衛生啓発活動を開始し、その一環として、UNHCRから提供された石けんを各世帯に配付しました。石けんを使った手洗いや洗濯、掃除を日々続けていけるように、今後も人びとに働きかけていきます。
次に、ごみ処理活動です。難民居住地区内の人びとを巻き込み、マスクと手袋を着用して感染症およびケガ予防の対策をしたうえで、定期的にごみ回収を開始しました。活動をコミュニティの人びととともに行うことで、ごみ処理の大切さへの理解が進み、意識が変化していくよう働きかけます。
そして、いま、ピットが満杯になり使うことができない状態のトイレを取り壊し、新しいトイレの建設に取り組んでいます。
このように衛生環境を整え、そして、コミュニティ衛生栄養ワーカーが正しいトイレの使用方法を人びとへ伝えていくことでそれぞれの活動による相乗効果を生み出し、持続的な衛生環境の改善を目指していきます。
本事業はUNHCRからの資金と、みなさまからのご支援によって実施されています。スーダン危機により、今もなおスーダン難民が南スーダンに避難してきています。引き続き、温かいご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。