【ウクライナ】高齢者と障害のある国内避難民や受け入れ地域の人々2万人以上に食糧支援や心理社会的支援を提供しました
国連移住機関(IOM)によると、2024年3月の時点で約338万人がウクライナ国内で避難生活を送っています。ロシアが侵攻した東部や南部地域、今も激しい戦闘が続く地域から避難した人の中には、高齢者や障害者、病気の人や子どもを抱えたシングルマザーなど弱い立場に置かれる人が数多くいます。ピースウィンズは、ウクライナのNGO「Right to Protection (R2P)」と連携して、西部と中部の国内避難民に食料や衛生用品を提供し、心のケアや法律相談などを行いました。支援は避難民を受け入れている地域のみなさんにも提供しました。
⚫️食料と物資の支援
食糧支援として、そば粉やパスタ、オートミール、ひまわり油、ピーナツ、豚肉煮込み缶詰、砂糖、牛肉煮込み缶詰、ジャム、チョコレートなどを届けました。2023年春からの1年間で、当初予定していた夏用食料3000セット、冬用食料4500セットと、追加の500セットを届けました。衛生用品は歯ブラシや石鹸、生理用品、マスク、洗剤、タオル、バケツなどを4,000セット届けました。
6月にはロシアによる攻撃で水力発電所のダムが破壊され、洪水の被災者が避難したヘルソン、ミコライウなどで緊急支援物資850セットを配付しました。
また、避難所には調理設備や洗濯機、乾燥機、血圧計をはじめとする医療機器など生活に必要なものを届けました。高齢者や障害のある人のためには、大人用おむつや松葉杖などを届けました。
⚫️心のケアと法律相談、福祉支援
R2Pの移動支援チームは、心理学の専門家と法律家、ソーシャルワーカーらで構成されており、避難所や知人宅に身を寄せる国内避難民の必要に応じて個別相談やグループセラピーの機会を提供しました。こうした支援を受けた人の数は国内避難民と受け入れ地域の住民合わせて、2024年3月までの1年間で3,000人以上となりました。
たとえば、3月半ばには、R2Pのソーシャルワーカーのヤナ・ドミトリシェナさんと臨床心理士オレナ・カミンスカさんが、ヴィニッツァ州のキミルニツカ地区コミュニティで就学前の子どもたちのためのグループセッションを行いました。子どもたちが避難生活の中でも感情を押し込めて心の不調に陥るのを防ぐため、自由に感情表現できるよう絵を見て想像力を働かせながら話すのを促す活動でした。
西部リヴィウ州にある避難所では、行動範囲が限定され単調になりがちな避難生活の中でも高齢者の認知機能が低下しないように、レゴやブロックを使った活動を行いました。国内避難民の中には新しい環境に適応するのに苦労したり、ホームシックにかかったり、家族を失った喪失感に苦しむ人がいます。個別相談やグループセラピーはこうした人々を支えるために行われました。
また、損壊した家や財産の補償を受けるための法的手続きや、パスポート、出生証明、登記などが失われた場合の復旧手続きなどの相談にも法律専門家が無料で応じました。法的支援を受けた人の数は合わせて1500人を超えました。
ピースウィンズのウクライナ支援事業は、みなさまからのご寄付やジャパンプラットフォームからの助成金により実施しています。ウクライナでは東部と南部を中心に戦闘が激しくなり、新たに国内避難民が増えています。引き続き、ご支援をよろしくお願いします。