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私たちの活動

【アフガニスタン】紛争の影響を受けた子どもたちの教育環境を改善

タリバン暫定政権の方針で女性の権利が著しく制限され、アフガニスタンの女子教育が危機的な状況に陥っている中、ピースウィンズは女子生徒たちの教育の場を提供するため、教育支援を実施しました。

2024年4月中旬~8月中旬、アフガニスタン東部の険しい山岳地帯にあるパチェラガム郡において、「教室がない」という理由で学習が妨げられている子どもたちのために、より優先度の高い学校としてバマハイル女子中学校(兼バマハイル男子中学校*)、パスサバール女子高校(兼パスサバール男子小学校*)、ランダカイル高校の3校で仮設教室用テント設置支援を現地提携団体とともに行いました。

*同じ場所で、男子は午前、女子は午後に授業を受けています。

バマハイル女子中学校-新しく設置された仮設教室用テント内で、安心して学ぶことができます

【支援前の状況】

バマハイル女子中学校(兼バマハイル男子中学校)、およびパスサバール女子高校(兼パスサバール男子小学校)には校舎がなく、生徒たちは屋外にプラスチックシートを敷き、その上に座って授業を受けていました。そのため、雨天には授業は中止になりました。これらの学校は山岳地帯にあり、1年を通して寒暖の差が激しく、10月には寒さが増して屋外で受講するには厳しい環境でした。生徒たちは寒さに耐えながら授業を受けていましたが、11月から本格的な冬に入ると、積雪や道路の凍結のために授業そのものを継続できなくなる場合が多々ありました。さらにこの地域は、夏の間は厳しい直射日光や地熱を受け、また頻繁に発生する砂嵐のために、体調を崩す生徒も後を絶ちませんでした。
ランダカイル高校は1969年ごろに設立され、一部校舎が残っていますが、教室として使用できるのは14教室のみでした。生徒数が多いため、男子生徒と女子生徒、それぞれ半数以上が屋外で授業を受けていました。本校では半分のグループのみが屋内の教室で授業を受けられているため、生徒間で不公平が生じていました。

バマハイル女子中学校(兼バマハイル男子中学校)―支援前は校舎がありませんでした

本事業では、これらの学校にそれぞれ、仮設教室用大型テント8基を設置し、備品(教師用机8台、教師用いす8台、黒板8台、および仮設教室用テントの床に敷く絨毯))を提供しました。

仮設教室用大型テント設置の様子
ランダカイル高校―真新しいブルーのテントが立ち並びました
仮設教室用備品の搬入の様子
バマハイル男子中学校-男子生徒たちも、新しいテントの中で記念撮影
パスサバール女子高校―新しいテント教室に、女子生徒たちが入っていきます
パスサバール女子高校-陽光が差し込むテントの教室にて
ランダカイル高校―テントの窓から優しい陽光が入ってきます

【支援後の状況】

現在はテントのおかげで、灼熱の太陽や風雨にさらされることなく、生徒たちは授業に集中することができます。また、フカフカのカーペットが敷いてあるので、生徒たちは快適に座ることができています。以前は、岩だらけの地面の上に座って授業を受けていたので、生徒の服は砂埃や土でドロドロになり、家に帰り着くころには、服は真っ黒に汚れていたので、保護者の中には、自分の子どもが足場の悪い場所で授業を受けていることを思うと心配で、学校に通わせるのをためらう人も多くいました。しかし、今は、テント教室のおかげで、服はいつも清潔に保たれ、保護者も安心しています。生徒たちは、学校が大好きだと話しています。

【先生からのメッセージ】

バマハイル女子中学校モハマド・グル男性教員:テントはリラックスできるだけでなく、大勢の生徒を収容できるほどの開放感があります。通気性がよく、夏の暑い日には重要です。カーペットも嬉しく、生徒に清潔で柔らかい座面を提供します。ご支援により集中力が大幅に向上しました。
生徒たちは最近、学校に来るのが楽しくなっているようです。座って学習できる楽しい場所があることを知っているので、授業に出席する意欲が高まりました。保護者もその変化に気付いており、子ども、特に娘を学校に通わせることにためらいがあった人たちも、今では積極的に子どもを学校に通わせようと考え直しています。

パスサバール女子高校ナセハ女性教員:私たちの学校には10人の女性教員がいますが、まだまだ女性教員が大幅に不足しています。それでも私たちは学校に来て女子生徒を教えることができることを嬉しく思っています。女性が教育を受けると、彼女たちが母親になって、次の世代全体を教育することになると思います。
新しい備品が到着して以来、生徒たちの顔に浮かぶ笑顔を見て、私は幸せを感じています。私たちを支えてくださったすべての方々に心から感謝申し上げます。この困難な時期に、皆さんは私たちのことを忘れずに、支援してくださいました。

ランダカイル高校グル・ラスール男性教員:私は長年この学校で教えていますが、ご支援のおかげで雰囲気全体が変わりました。以前は、居心地の悪い環境のため、しばしば生徒の気が散っていました。私は生徒の集中力を保つために多くの時間を費やしていました。
今では、生徒はより熱心に学習に取り組んでおり、注意力も高まっています。そして、以前よりずっと学校に来る意欲があります。生徒たちは快適な雰囲気の中で学ぶことにワクワクしており、それが出席率と参加度の向上につながっています。生徒はテントを大事にし、清潔に保つことに熱心で、これまで以上に勉強に打ち込んでいます。

【生徒たちからのメッセージ】

女子生徒カディジャさん:テントは広々としていて、まるで自分の家族と一緒に座っているような、居心地のよい雰囲気です。明るい色彩と快適な環境のおかげで、学校は勉強をして成長できる特別な場所のように感じています。

女子生徒サヒバさん:テントは日差しや雨から守ってくれるので、天気を気にせずに勉強に集中できます。学習のために必要なサポートを受けているので、もっと勉強しようという気持ちになります。父は私の学校がテントと備品を受け取ったことを誇りに思っています。母も、学習状況が改善されたので、私を学校に通わせることに安心感を覚えるようになりました。

男子生徒ロヒドさん:私の父は、家族を支えるために休みなく働いています。そして、いつも私たちに、教育はとても大切だと言っています。でも、これまでは、設備が不十分で学習が遅れがちでした。ある日、学校まで歩いていくと、何か違うものが見えました。校庭には立派なテントが設置されており、屋外の教室は素敵な場所に変わっていました。以前は風や雨と格闘していましたが、今では座って勉強できる良い場所があります。黒板も設置され、学習がずっと楽になりました。毎日学校に来るのがとても楽しくてワクワクしています。

対象校の先生や生徒たちをはじめ、保護者の方々、そして地域の住民の皆さまから喜びと感謝の声が届き、スタッフ一同、喜びを感じています。皆さまの温かいお気持ちとご支援に御礼申し上げます。

※本事業は、日本寄付財団からの助成金や皆さまからのご寄付により実施いたしました。

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