ハイチの明日のために
地震被災者の居住環境を整えるためにハイチ入りをして直面したのは、あらゆる面での援助不足の現実でした。ピースウインズ・ジャパン(PWJ)としては、瓦礫撤去のためのツールキット1,000セットの配布を始め、学校再開のための瓦礫撤去に必要な重機手配や、現地人の雇用を進めています。
今回は、3月6日に日本を出発後、同日ドミニカ入りを果たし、テント受領にかかる税金免除の手配のための書類作成にまず取り掛かりました。この書類手続きには約一週間を要し、ハイチの現場入りは3月15日となりましたが、その甲斐あってドミニカの国境を越えてハイチに入国する際の手続きは問題なく進みました。支援不足による住民の物資略奪といった、心配していたハイチの治安悪化も経験せずに済み、首都ポルトープランスにある倉庫まで無事テントを運ぶことができました。
雨季が始まりつつある時期に待望のテント到着・配布 (C)PWJ
現地に駐在するPWJの邦人スタッフ2名は、人の輪に入るのが上手で、現地職員や被災者を和ませ、彼らのストレス軽減に貢献することでPWJの援助を潤滑に進めていました。
ハイチチームと (C)PWJ
今回の出張で印象的だったのは、ハリケーン災害のときの援助経験があるとはいえ、今回ほど大規模な援助にかかわったことがなかった現地職員に大きな自信が生まれたことです。また、被災地キャンプで自然発生的に組織された自治会から手書きの感謝状が贈られたことも、印象深い出来事のひとつです。この自治会は、9名のリーダーによって組織されており、被災地キャンプで生活する800世帯の代表です。しかしながら、今までその実力を発揮することができずにいたため、被災者からの信頼を得られずにいました。それが今回、PWJと配給作業を進めることで被災者をまとめ、限られたテントを効率よく配給するための優先リスト作りや、実際の配給に至るまでの過程でその能力を遺憾なく発揮したことで、他の被災民から感謝され、信頼を得ていました。
被災地キャンプ自治会メンバーと (C)PWJ
ハイチの復興は始まったばかりです。現地は、自然発生的な小規模のキャンプが各地にできており、キャンプや被災者の数の把握も難しい状況です。こうした中で、効率的に支援を届けることは困難ですが、被災者の方々が一日も早く安定した生活に戻れるよう、PWJでは継続して瓦礫の除去、学校再開事業などを支援してゆきます。
治安維持に当たっているフィリピン兵士も協力的 (C)PWJ