【ブルキナファソ】現地を訪問し、調査と支援を行いました。
ピースウィンズは、5月末から6月初旬にかけて、治安・安全に十分に注意をしながら、西アフリカのブルキナファソを訪問しました。今回の訪問には、災害緊急支援プロジェクト、空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”の稲葉医師、菊池看護師が参加しました。ピースウィンズが運営する空飛ぶ捜索医療団では、これまでも、災害のないときは、訓練とともに、国内の地域医療の支援や、医療面での国際協力を行ってきました。
今回の訪問の目的は、第一に、昨年、贈呈したフィブロスキャンの活用状況を確認することです。フィブロスキャンは贈呈先の国立ムラズ研究所から、ピースウィンズ・ジャパンが提携する現地のNGOに無償で貸し出され、肝臓専門医のもと、治療に活用されていました。この検査機器では、肝炎の進行のようすを容易に確認することができます。そのため、遠く100km以上も離れた街から、検査を受けに来ている患者さんもいました。また、検査結果はその場で分かるため、異常が見つからなかった患者さんの安心した表情、笑顔も、とても印象に残りました。
訪問の第二の目的は、ブルキナファソの肝炎対策の状況、そして、今後の事業の可能性を現地調査することです。現地NGO、患者団体、医療機関、医師・研究者、保健省や国際機関など、多くの方と意見交換を行いました。また、B型肝炎に母子感染させてしまったお母さんと子ども、検査を受けて陽性と判明したばかりの患者さんなど、多くの患者さんからも聞き取りを行うことができました。ブルキナファソ政府も肝炎対策には力を入れており、B型肝炎に感染している妊婦さんへの無料の抗ウイルス薬治療が今年5月から開始されていることなど、肝炎対策が前進しているようすも知ることができました。ピースウィンズでは、これらの調査結果もいかして、現地のニーズにあった、検査や啓発活動の支援を行っていきたいと考えています。
最後に、訪問中には、現地の患者団体とともに、無料検査・無料診断のキャンペーンにも取り組みました。その中では、経済的に余裕のない患者さんを支えるために、毎週100kmの距離を車で移動して診察にかけつけてくれる肝臓専門医、患者団体とともにキャンペーンに取り組む大勢の医学生などとも知り合いました。ブルキナファソという国名は“高潔な人々の国”という意味ですが、それにふさわしく、熱意もあり、技術もある医療・保健の関係者と多く知り合えたことも今回の成果となりました。
ブルキナファソにおける肝炎対策の支援は、治安、日本からの距離、資金の確保など、課題も山積ですが、今回の調査でつくったネットワークもいかしながら、「国民病」と言われたウイルス性肝炎を克服してきた経験と技術のある日本のNGOとして、肝炎、感染症対策の支援を続けていきたいと考えています。
多くの方のご支援が、感染症対策、保健対策をすすめる力になります。ぜひ事業継続のためにも、ご支援をよろしくお願いいたします。
今回の訪問のルポを「空飛ぶ捜索医療団」のページに掲載しています。ぜひ、あわせてお読みください:
① アフリカ”最貧国”ブルキナファソ 約200万の感染患者に “一筋の希望”
② 忘れられた “死にも至る病” と戦う武器は日本文化にヒントがある?