PWJ掘削の井戸から、ついに水がでました
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、イラク北部での緊急給水事業として、2008年6月からドホーク州とスレイマニア州で井戸の掘削を進めてきました。このうち、ドホーク州の4カ所の井戸掘削予定地のうち、2カ所で水が出たことが確認されました。
水が出た井戸の1つは、ドホーク州の中心から約80キロ離れた同州アクレ地区のサラヤ村の井戸。この村では165世帯が生活していますが、水不足のために農業ができず村の周りの農園は放置されています。村内には1980年代に掘られた井戸が1つありますが、住民全員が利用するには水量が足りないため、住民は飲み水以外の水については、村から8キロほど離れた川の水を利用しています。住民たちは「川までの移動手段がないため、水をくみに行くのは、1週間もしくは2週間に1度程度。洗濯や掃除もままならず、農業をすることもできない」と話していました。
水脈まで深く掘り進めた結果、やっと水が出たサラヤ村の井戸。ポンプなどの設置が終われば使えるようになります。
(C)Peace Winds Japan
一方、水が確認されたもう1つの井戸は、同じくドホーク州アクレ地区のハラナ村にあります。ハラナ村は、ドホーク州の中心部から約100キロほど離れた小さな村で、現在108家族が住んでいます。ここにも1980年代に建設された井戸があるものの、すでに枯れてしまい使えません。手掘りの浅い井戸が何本かあるものの、やはりほとんどが枯れてしまい、現在水が出るのは1本だけになっています。この井戸の水も飲み水には適していないため、村長が持っている小型の給水車を利用して、10キロほど離れた川から水を運んで住民に配っています。しかし、この水だけでは全世帯が利用するには十分ではありません。
(C)Peace Winds Japan
「この村ではほとんどの世帯が家畜の放牧と農業で生計を立てているが、水不足のために家畜用の水を確保できない。世話ができないために家畜を売りに出してしまった家も出ている」と村長。住民の間に今後の生活への不安も広がっているようで、早急な対応が必要でした。
PWJが井戸の掘削を進めた結果、260メートルまで掘り進めてようやく水が出て来ました。ここもサラヤ村の井戸と同様、これから、ポンプの設置などを行い、井戸として使えるようにします。
井戸掘削など、ドホーク州でのPWJの干ばつへの取り組みは地元でも注目を集めていて、地元の新聞の記事にもなりました。
(C)Peace Winds Japan