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荒々しくも美しいクルドの大地 アルプス・ヒマラヤ造山帯の一部

クルドの荒涼としたダイナミックな景観と、直線的な山の稜線は、この地を訪れた人に、ショックさえ与えます。
 クルドでは、何層にも重なった地層が露出している光景によく出くわします。水平に、ときには45度以上の傾きを持って連続する地層が、突然、ナイフか何か鋭利なもので切られたかのように絶たれたれた場所が珍しくありません。かと思えば、おわんをひっくり返したような台地がいくつも並んでいる場所もあります。
 おそらくそれは、この土地のでき方にかかわっています。
地球上の現象に関連して、プレート・テクトニクスという理論があります。この理論によると、地球の表面は複数のプレートで構成され、内側にあるマントルと呼ばれる部分の動きによってプレートも動いたり分裂したりします。そのために、プレート上にある大陸も、移動や分裂をすると説明されています。
中東地域では、今から約2000万年前にアフリカ・プレートの一部で分裂が始まり、分裂により生まれたアラビア・プレートは、上にアラビア半島を構成する大陸を乗せて、北東へと移動を開始しました。そして、ユーラシア大陸が乗る東側のユーラシア・プレートと衝突を始めたのです。ちなみに、この分裂で生まれたのが紅海です。
ユーラシア・プレートにはまた、アラビア・プレートの西でアフリカ・プレートが、東ではインド・プレートが、それぞれ南から衝突しています。
大陸で構成されるプレート同士が衝突したところでは、プレートの表面が剥ぎとられ、さらにプレートが沈み込みにくいために、地表ではそそり立った地形となります。ヒマラヤからアルプスまで続く高い山々は、その働きでできました(アルプス・ヒマラヤ造山帯とも呼ばれます)。
プレート同士の境界は地震の発生源となることが少なくありません。クルディスタンの東部にあたるザクロス山脈(イラン領)や西部のトルコ領西部はたびたび地震に見舞われています。しかし、イラク北部クルド人自治区では「地震は少ない」ということです。
地球の歴史をかじったうえでクルドの地形を見回すと、「なるほど、ここが地球”しわ”か」などと妙に納得した気になります。そして、その山々の頭上に広がる澄みきった青空と、描いたような白い雲は、苦難と緊張の続く現実を忘れさせるほどです。

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