【ケニアより】いつか南スーダンに平和が戻ったら
「私の故郷はね、緑がいっぱいあって子供達が沢山いて、とても良いところなの。いつか南スーダンに平和が戻ったら遊びにおいでよ!村のみんなで歓迎するから。」と、私と同世代で二人の子供を育ててるハピネスが、コーヒーを飲みながら話してくれました。南スーダンの紛争から逃れ、ケニアのカロべエイ難民居住地区に住み始めてから2年。彼女が淹れてくれたコーヒーは、南スーダンのスパイスが入ったコーヒーでした。
「ジュバ(南スーダンの首都)で紛争が起こった時、私はそこで小学校の先生として働いていたの。故郷には帰りたかったけど、道中が危険で怖くて帰れなかった。」と教えてくれました。
私は現地駐在員としてカクマ難民キャンプ・カロベエイ難民居住地区に滞在しており、ケニア周辺国から様々な理由でここに逃れてきた難民の方々と話す機会があります。
ケニアといえば、紅茶やコーヒー、バラ、マラソン選手、たくさんの野生動物などのイメージがあると思いますが、実はケニア全土で50万人弱の難民が滞在しています。、南スーダンやコンゴ・ブルンジ・ウガンダ・ソマリア等からケニアに来ています。彼らがここに逃れてきた理由は多様で、自国での紛争や干ばつ・洪水等の自然災害の発生から、思想・信条による弾圧にまでいたります。
カクマやカロベエイを歩いていると難民の人々の日常を垣間見ることができます。子どもたちは土と水を混ぜて小さな家を建てて遊んだり、空き缶とちぎった葉っぱを使って料理の真似ごとをしたりしています。お母さん達は子どもの髪を編んであげ、たらいの中に水を張って小さい子どもに水浴びをさせています。私たちが彼らの家を訪問すると、コップに入った水と椅子を差し出しながら「休んでいきなよ」と笑顔で迎えてくれます。
私が皆さんにお伝えしたいのは、難民は決して特別な存在ではなく、私たちと何ら変わらない、彼ら自身と彼らの大切な人たちの幸せを願う一人一人の人間であるということです。家族と一緒に暮らせること、外で買い物ができること、友人と立ち話ができること、安心して寝られること、子どもに教育を受けさせられること、そういった日本では当たり前のことを願い、紛争や迫害から逃れるため彼らは自国を離れケニアに渡りました。彼らがどれほどの覚悟を持って自国を離れることを決めたのか、彼らの思いは計り知れません。
PWJは2016年からケニアのカクマ難民キャンプ・カロベエイ難民居住地区で継続して支援を続けています。難民が住むシェルター、世帯用トイレの建設、手洗い指導等の衛生啓発活動、道路の整備等を行っていますが、紛争の長期化による新規難民の流入は今もなお続いており、引き続き支援が必要な状況です。祖国を追われてケニアで暮らしている人たちが、安心し尊厳を持って生きられるよう、引き続き関心を寄せて頂けますようよろしくお願い申し上げます。