国立高等専門学校の修復に着手!
ピースウインズ・ジャパン(PWJ)がリベリアで活動を始めて間もなく3年。当初は緊急支援が主でしたが、情勢が安定して隣国の難民キャンプや国内の避難民キャンプから住民の帰還も進んでいることから、中長期的な開発に向けた事業として、国内に3校しかない国立の高等専門学校の修復事業を開始しました。
工事が進む国立高等専門学校 (C)PWJ
PWJが修復に乗り出したのは、ロファ州の国立高等専門学校。一般教育コースと職業訓練コースが併設され、生徒と学校関係者のための寄宿舎も備えた学校は、総敷地面積が7.7ヘクタールにも及びます。地域住民にとっては単なる学校ではなく、州を代表する施設であり、復興のシンボルとしても修復が待ち望まれていました。しかし、内戦の後期にほとんどの建物が破壊されたため、一般教育コースの授業のみが現在、幼稚園と教会を校舎に行われ、職業訓練コースは閉鎖されたままになっています。
内戦で破壊されてしまった学校の現状 (C)PWJ
PWJは2005年から学校修復に向けた準備を開始。教育省や現地の学校関係者との協議で、1978年に学校が開校したときの建物を復元することが決まりました。今年6〜7月に完成させ、9月の新学期からの使用をめざしている第一期の事業では一般教育コースの教室と教員用事務所、そして給食配布のための食堂とキッチンを修復予定です。
事業開始後も、最初の草刈り中に内戦時の不発弾が発見されて国連軍に除去を依頼をしたり、2mを越すヘビが頻繁に現れるためヘビよけの薬を配布したりと、なかなか建物の修復に取り掛かることができませんでした。また熱帯性気候のため植物の育成も極めて早く、建物の床を突き破って木が生えていたり、壁と植生が一体化していたりするため、どの部分を取り壊して再建し、どの部分を補強で済ませられるかなどにも頭を悩ませながら事業を進めています。また、建設資材の買い付けやその輸送も、他の事業も雨期前に集中するため、量の確保などが一苦労です。
建設する学校のイメージ模型(デザインは変更されることもあります)
国立高等専門学校の修復はたびたび現地のメディアにも取り上げられ、またリベリア大統領がロファ州を訪問したときに視察するなど、リベリア国内での注目が非常に高い事業です。困難はありますが、今後も現地政府や国連機関とも協力をしながら、事業に取り組んでいきます。さらに雨期明けの10月からは、工期1年の第二期事業として職業訓練コースの教室や車両整備場、図書館などの修復を実施できるよう準備を進めています。