「復興に女性の声を」とイベント開催
「国際女性の日」の3月8日、ピース ウィンズ・ジャパン(PWJ)は、支援を行なっているパキスタン・ムザファラバードの被災者キャンプで、女性たちのエンパワーメント(能力を向上させること)をめざして、女性の日を祝うイベントを開催しました。PWJとNPO難民支援協会(JAR)は女性のエンパワーメントを目的にワークショップ(研修会)を協力して開催することになっていて、イベントはワークショップのためのステップとして、JARと協力して実施しました。
被災地では厳しい冬が終わり、菜の花や杏、りんごなどの草花が芽吹き、日本より一足早く春を迎えています。帰還・復興への期待が高まるなかで、女性が帰還・復興に関する意思決定にかかわり、帰還した先での復興においても重要な役割を果たせるよう、自身が権利の主体であると伝える機会が必要とされていました。
写真左:女性の権利についてのスピーチを聞く
女性の権利についてのスピーチを聞く
(C)Peace Winds Japan
キャンプ内の女性はこれまで、多くの人が集まる会合、とりわけ配偶者以外の男性が多い会合に参加した経験が少ないため、今回は女性と子どもを中心としたイベントにしました。また教育を受ける機会に恵まれなかったために、文字を読めない女性もいることから、効果的にメッセージを伝えるため、パンフレットなどを作成・配布するのではなく、メッセージ性のあるスピーチやドラマを活用することとしました。
子育てや家事など、日々の生活で忙しいなか、女性がどれだけ集まるか不安でしたが、いざ開場すると続々と人が集まり、女性・子どもを中心に約700人が参加する大きな会合となりました。この日のために世界人権宣言など、人権についての国際ルールを勉強した女性のソーシャルワーカーたちが、女性の権利や教育の重要性を、詳しく、わかりやすく話しました。子どもによる劇や歌、踊りも披露され、会場は大いに沸きました。また、日ごろキャンプ内で欠かせない日常業務をボランティアで担っている各ブロックのリーダーやキッチンの清掃担当者を全員ステージ上で紹介し、みんなで感謝の拍手を送りました。
写真左:会場に詰め掛けた女性たち
写真右:メッセージを書いた色紙が貼られた
(C)Peace Winds Japan
会場では、参加した女性から夢や希望についてのメッセージを集め、現地語であるウルドゥー語に書いて50枚ほどをボードに貼り付けました。「(帰還した先でも)医者がほしい」、「教育を受けたい」といったメッセージが多く、今後に向けた女性の切実なニーズが反映されていました。
PWJでは、JARとともに、イベントの翌日から女性スタッフを中心に個々のテントを訪問し、女性たちの聞き取りなどを実施。帰還や復興の過程で、女性や子どもの意見が反映されることが確保されるために必要な活動を、引き続き行なっています。
※PWJのパキスタン地震被災者支援活動は、ジャパン・プラットフォームの協力も得て実施しています。