【パレスチナ】ガザ地区に職業訓練センターが開講!太陽光などの研修を開始
働き盛りの若者が大学を出ても仕事に就けないという大変厳しいガザ地区の経済・社会状況を踏まえて、ピースウィンズ・ジャパンでは昨年より、若者を対象とした「コミュニティ職業技術訓練センター」(Community Technical/Vocational Training Center:CTTC)事業を開始。カリキュラムの開発や講師の選定、必要機材の調達や設置を経て、ガザ地区の3ヵ所にセンターを開設、2019年3月から訓練研修が始まりました。そのうちの1つ、ハーン・ユニス県に設置したセンターを訪れ、 受講する4名の若者に話を聞きました。
タハリールさん(21歳)太陽光発電管理システム・コース受講:太陽光発電パネルはガザで普及し始めていて、成長産業なので、この分野を選びました。若者の就労の機会は本当に限られていて、乗合タクシーの運転手をしたり、タバコの小売などをするくらいしか仕事がありません。手に職をつけて、仕事を見つけたいと思って応募しました。
ニスマさん(18歳)スマートフォン管理コース受講:このコースを選んで両親は応援してくれていますが、友人には「男の人がやるようなことでしょう、やめなさいよ」と止められたりしました。でも仕事がなければ、女性は家に籠って家事をするだけ。女の人は何もできないと思っている人はいるけれども、自分でビジネスをして見返したいという意気込みで取り組みます!
ムハンマドさん(20歳)携帯電話・スマートフォン管理コース受講:ガザでは、携帯電話をハッキングして、携帯にある写真を公開すると脅してお金を騙し取るという手口の犯行が起きています。このようなことを阻止できるスキルを身に着けたいと思ってこのコースの受講を決めました。
アハマッドさん(22歳)コンピューター管理コース受講:もともとコンピューターなどに興味がありましたが、大手の会社にネットワークの設置を依頼すると高額な料金をとられます。このコースで勉強して、自分でできるようになればと思って応募しました。
ガザ地区は東京都の2/3ほどの広さしかありません。しかし、人の出入りが厳しく制限されるため、インタビューした若者4人ともガザの外に出たことがありません。続く封鎖によりガザの経済は悪化するばかりで、若者の失業率は70%にも及んでいますが、ガザの外に職を求めることもできません。
自分で起業したいと言っていたタハリールさんは、3年間大学に通ったものの、家族の経済的な理由で中退せざるを得なかったそうです。アハマッドさんも、これまでやっと仕事が得られても不定期で、稼げてもせいぜい1日10〜20シェケル(日本円で約300円〜600円)だったということです。それでも、「世の中は常に変わっている。自分たちの将来に夢を持たなければ。」と話すムハンマドさん。
この事業では、1,200人の若者を対象に訓練を実施する予定です。
将来に希望を持てるよう、ピースウィンズ・ジャパンはガザ地区の若者に対する支援を継続します。
この活動は、皆さまからの暖かいご支援と、外務省の日本NGO連携無償資金協力からの助成金により実施しています。