「蛇口ひねれば水」の簡易水道
シエラレオネ・コノ地区で、PWJが建設を進めてきた簡易水道システムが完成し、地区内の7つの村の住民約7000人が、家のすぐそばにある蛇口をひねるだけで、きれいな水を使えるようになりました。現地では子どもや女性が毎日、長い時間、水くみ作業をしなければならず、そのために学校に通うことが難しくなるケースもみられました。水道の完成で水くみから解放されることで、就学機会なども広がっていくことが期待されています。
写真左:蛇口のまわりに集まった住民たち
写真右:水源周辺
(C)Peace Winds Japan
この簡易水道システムは、水源のある山の中腹と7つの村を結んでいます。水源と村との距離は、一番近い村で約500メートル、一番遠い村だと約3.6キロメートルで、水道管の総延長は約8キロ。水源と村むらとの高低差(最大95
m)を利用し、重力(グラビティ)を利用して水を供給するところから、「グラビティ給水事業」とも呼ばれています。もともとはイギリスの団体が建設を始めましたが、内戦のために中断。PWJが2004年12月から工事を始め、修復が必要な箇所には手を加え、未完成の部分は新たにパイプを敷設して完成させました。
写真左:山のなかの水道管敷設
写真右:建設中の貯水タンク
(C)Peace Winds Japan
ふもとには、約400世帯の1日分の使用量に相当する貯水量40立方メートルの大きな貯水タンク(高さ2.7メートル、直径6メートル)2基と、小さなタンク(高さ
1.8メートル、幅1.6メートル、貯水量2立方メートル)6基を建て、各タンクから合わせて89の蛇口に給水しています。学校や病院といった公共施設にも、蛇口を設置しました。完成後は維持のための特別なエネルギーが不要で、住民たちが修理することも容易です。
蛇口に周りにはいつも、安心してきれいな水を手にすることができることを喜ぶ住民の姿があります。村ごとに、施設の維持管理や衛生についての理解を高めるための活動を行う「水・衛生委員会」が組織され、すでに活動を開始しています。
シエラレオネ事業を担当するPWJスタッフの福井美穂は「これによって住民は、十分な量の安全な水を、安定的に確保できることになります。水くみから解放された子どもたちが学校に通ったり、女性たちが水・衛生委員会などの地域での活動に積極的に参加したりするようになることを期待しています」と話しています。
バルブを閉めるのもうれしそう
(C)Peace Winds Japan
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