【南スーダン】メッセンジャーとして大きな役割を果たす子ども達
2013年12月に国内紛争が勃発後、各地で武力紛争が続いていた南スーダンにようやく平和への兆しが見えてきました。今年4月末、ようやく南スーダンに暫定政府が設立されたのです。政府は一丸となり、国内外にいる約100万人の避難民に対して故郷への帰還を推進するよう、動き出しました。
ピースウィンズ・ジャパンは、紛争の被災者支援として、同国首都のジュバ市内にある国内避難民キャンプ内での支援活動に加え、周辺のグンボ(Gumbo)地域において、衛生普及員の育成と衛生知識の普及活動を住民に対して行っています。今回はその活動の一つ、国内避難民の子ども達が通う小学校にできた「衛生クラブ」の活動をご紹介します。
真っ白なお揃いのTシャツで活動をする衛生クラブ員たち
小学校の衛生クラブは、自ら志願した上級生(4〜7年生)12名で組織されています。彼らは衛生知識の研修を受けた後、毎週2回、午前11時から各クラスを周り、衛生知識を伝えています。正しい手洗いの方法やトイレの使い方、水浴び、髪や爪を切って身なりを清潔に保つ方法、そしてごみの捨て方や掃除の仕方を周りに教えます。こうしたことは、日本では当たり前にある習慣ですが、ここ南スーダンでは十分に普及していません。
生徒達にクラブ員に志願した理由と尋ねると、4年生の女子生徒が真っ先に手を挙げ、「私の小さい弟や妹がコレラで死んでしまったから、小さい子ども達の病気を防ぐために手洗いやトイレの使い方を習って教えてあげたかったの」と答えてくれました。6年生の男子生徒に、活動後の周りの変化についてと尋ねると、「就学前クラスの子ども達はトイレが怖いと言って大変だったけど、一緒に行ってあげてからは、今ではトイレを使ってくれるようになったよ」と誇らしげに答てくれました。また、5年生の女子生徒は「私が髪の毛をきれいに剃っていたら、友達も髪を櫛でといて学校に来るようになったから嬉しかった」と、短く清潔に剃られた頭をなでながら笑って答えてくれました。
その他にも「両親と近所の人に石鹸で手を洗うことの重要さを伝えたところ、家のそばにトイレをつくることになり、完成させた」「私のおばあちゃんに手洗いと水浴びの大切さを教えたら、するようになった」「隣の学校の友達に手洗いに石鹸を使うとコレラにかからないよって教えてあげたら、家族みんなが石鹸を使うようになった」という声があり、衛生クラブの生徒達が水と衛生に関するメッセンジャーとして活躍していることが分かりました。彼らは、地域の衛生向上に貢献し、大きな役割を果たしつつあるのです。
正しい手の洗い方を教える衛生クラブ員の様子
平和な国へ少しずつ進みつつある中、ここ南スーダンの人々と、避難生活から帰還してくる人々の両方が衛生的で健康な生活を送れるよう、今後もこうした活動を継続していこうと決意を新たにした小学校での1日でした。
報告:ナイロビ駐在南スーダン事業担当 井上恭子